鉄道の使命、やはり「利益追求」だけではない? 英国「再国有化」が示す民営化の限界とは
英国の鉄道民営化が失敗に終わり、再び国有化へと進んでいる。30年の民営化を経て、利益が株主に流れ、インフラ投資が遅れた結果、税金投入による矛盾が浮き彫りに。鉄道事業の社会的側面を無視した民間企業の限界が明らかに。
再び鉄道国有化の道を歩み始めた英国
英国が、再び鉄道を国有化に戻す道を歩んでいる――。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
2018年に英国の主要幹線のひとつである東海岸本線を、2020年には北イングランド北部鉄道を、そして2021年にはロンドン南東部の鉄道の運行を国の管理下に戻した。
英国の国鉄民営化は、いわゆる上下分離方式(運行と施設の管理を分ける方式)であり、地上設備や信号設備を1994年設立のレール・トラック社が引き継ぎ、車両は車両リース会社が所有し、フランチャイズを与えられた20社を超える民間会社が列車の運行を担っていた。
現在、鉄道の国有化に関する法案は下院を通過し、上院で審議されている。法が成立すると、第1ステップで民間鉄道事業者とのフランチャイズ契約終了後、公的機関が列車の運行を引き継ぎ、第2ステップで国有企業グレート・ブリティッシュ・レイルウェイズが、列車運行と現在インフラ担当している公的機関のネットワーク・レールを引き継ぐという。つまり、英国国鉄の民営化は
「約30年で限界」
を迎え、逆のプロセスを歩んでいることとなる。