鉄道の使命、やはり「利益追求」だけではない? 英国「再国有化」が示す民営化の限界とは
英国の鉄道民営化が失敗に終わり、再び国有化へと進んでいる。30年の民営化を経て、利益が株主に流れ、インフラ投資が遅れた結果、税金投入による矛盾が浮き彫りに。鉄道事業の社会的側面を無視した民間企業の限界が明らかに。
鉄道民営化の最大の問題は利益の流出

民営化のメリットは、競争を意識した
・サービス向上
・政治の不介入
・効率的な運営
・人員削減
などがあげられる。英国国鉄の解体では、さらに
・労働組合の弱体化
・株式売却による国庫の収益
が重要視されていた。これにより、英国国鉄がいくつもの会社に分割された結果、組合組織が瓦解(がかい)し、職員一丸となって
「鉄路を守る文化」
が失われるどころか、技術継承すらままならなくなった。さらには、本来ならあまりもうからないレール・トラック社まで国庫の収益のために株式を売却され、安全より利潤追求にかじを取ることとなる。
英国の鉄道国営化に関する記事をいくつか読んでいると、鉄道民営化の最大の問題は、
「鉄道収入で得られた利益が、鉄道利用者や線路の維持、設備投資に還元されるのではなく株主へ流出すること」
との指摘があった。
・運行会社
・車両リース会社
・インフラ会社
は、全く別個の会社であり、運行会社がいくらもうけようと、車両リース会社、インフラ会社には還元されない。このため、車両リース会社、インフラ会社は、設備を維持するにしても、設備投資をするにしても税金の投入が必要となった。
さらには、利用客が少ない路線の場合、運行会社は税金を投入して補填されている。つまり、多額の税金を投入されながら、個々の会社は利益確保に走り株主に配当する矛盾。だったら
「1社にまとめて国営でいいのでは」
となるのも無理もない。