欧州を震撼させる「中国発通販サイト」 ドイツではすでに約130万人利用も、ECサイトは“関税のがれ”にすぎないのか?

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中国発の急成長ECサイト「Temu」が欧州に進出し、ドイツではサービス開始からわずか半年で130万人が利用するようになり、EU全体でも月間7500万人のユーザーを抱えるまでに広がっている。この快進撃の一方で、「関税逃れ」や「ダークパターン」など、150ユーロ以下の非関税ルールを利用した手法に対する批判が集まり、現地の商工業者との対立も深まっている。この状況を受けて、EUでは150ユーロ以下の非関税ルール撤廃を含む新しい規制が検討されているが、増え続ける輸送量への対応が難しい中、国際的な新ルールの必要性も指摘されている。

ECサイトの特性と課税ルールのミスマッチ

越境ECのイメージ(画像:Pexels)
越境ECのイメージ(画像:Pexels)

 ひと昔前は、個人が海外のショップで購入して商品を取り寄せる方法は「個人輸入」とも呼ばれ、数は多くはなかった。

 しかしながら、国を超えたECサイト通販が日常化した今日では、個人で購入した輸入小包が増える一方だ。輸入業者が大量に輸入して関税を支払い、国内で販売することを前提とした関税の仕組みでは、

「毎日送り続けられる大量の小包」

には対応不可といっていい。そういう意味では、150ユーロ以下非関税ルールを撤廃して、おしなべて関税を徴収するのもありかもしれない。とはいえ、記載された金額ベースでの課税額とならざるを得ず、過少申告はなくなることはないだろう。

 もちろん、関税や輸入売上税の脱税を防ぐ取り組みも行われている。ドイツでは、法律を改正しECサイト運営者が税務署に協力することを義務付けた。さらには、国内に拠点のない海外の事業所を対象としたベルリン国際税務署を昨年末に設立した。

 大手のECサイトだけでなく、プラットホームを利用して販売する小売業者もベルリン国際税務署に登録しなければならない。これにより、登録した事業者数が合計115000以上(うち110000以上がアジア圏の事業者)となったという。ただ、数が数だけに事務処理だけでも膨大な作業量となるのはいうまでもない。

 ECサイトの普及により、小包の数が爆発的に膨れあがり

「配送能力の逼迫」

を引き起こしているが、国際的には税関や課税処理能力が限界を迎えているといえよう。今後は、ECサイトの特性にあわせた新たな国際ルールが生まれるかもしれない。

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