欧州を震撼させる「中国発通販サイト」 ドイツではすでに約130万人利用も、ECサイトは“関税のがれ”にすぎないのか?

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中国発の急成長ECサイト「Temu」が欧州に進出し、ドイツではサービス開始からわずか半年で130万人が利用するようになり、EU全体でも月間7500万人のユーザーを抱えるまでに広がっている。この快進撃の一方で、「関税逃れ」や「ダークパターン」など、150ユーロ以下の非関税ルールを利用した手法に対する批判が集まり、現地の商工業者との対立も深まっている。この状況を受けて、EUでは150ユーロ以下の非関税ルール撤廃を含む新しい規制が検討されているが、増え続ける輸送量への対応が難しい中、国際的な新ルールの必要性も指摘されている。

150ユーロ以下は非関税のルール

Temuのウェブサイト(画像:Temu)
Temuのウェブサイト(画像:Temu)

 EU域内に商品を輸入する場合、150ユーロ(約2万5000円)以下は非関税というルールがある。ECサイトで150ユーロ以下の商品を購入すると、もちろん関税はかからない。

 ただ一方で、ある欧州の業者が同じ商品を大量ロットで輸入した場合、関税を払うこととなり商品価格にも関税がのせられる。その結果、商品を輸入して販売する業者は価格で太刀打ちできなくなるのはいうまでもない。関税を回避したECサイトの廉売が、不当ではないかと不満を抱くのも自然な流れだろう。

 もうひとつ疑いの目がかけられているのが、

・過小申告
・意図的な分割による租税回避

だ。商品価格は、書類ベースであり、そこに150ユーロ以下の価格が記載されていれば関税がかからない。税関職員が開封して調べると、50ユーロと記載されていた商品が1000ユーロを超えていたこともあったそうだ。

 悪質な例では、製品を分割して150ユーロ以下で欧州に送り、現地で組み立てて丸々関税を回避している。EU委員会の調査では、2023年

「約20億個」

の過少申告があったという。また、150ユーロ以下の輸入小包のうち65%が過少申告されているのではないかとみられている。

とはいえ、ECサイトの日常化によって、今や輸入小包が膨大な数になっている。欧州最大の航空貨物センターであるベルギーのリエージュ空港には、中国から日々100万個以上の輸入小包が届いているのだ。これだけの小包の数をわずかな税関職員でチェックするのは不可能といっていい。つまり、申告ベースで処理するしかないのだ。

 ちなみに、日本で国内に拠点のない海外のECサイトで買い物をすると消費税および関税の対象となるが、課税免除のルールがある。課税価格が1万円以下の場合、つまり商品価格にして1万6666円未満の場合は免除される。ただし、革製のカバンなど関税を免除されない物品もある。

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