現役ドライバーが物申す タクシー料金“15年ぶり”値上げで「本当に割を食う人たち」とは
タクシー業界の内情を知る現役ドライバーが、業界の課題や展望を赤裸々に語る。今回は、15年ぶり料金値上げに見る業界の行く末について。
業界の行く末は明るい? 暗い?

さて、業界の夢ある話にも多少触れたい。
2025年開催の大阪・関西万博の会場輸送に「空飛ぶクルマ」の活用が実現しそうだ。その先には「空飛ぶタクシー」の登場にも期待が掛かる。
先述の経営者は、業界の将来について次のように展望する。
「今後は高齢化の進展に伴い、新たな移動手段が想定される。技術の発展による『空飛ぶタクシー』もその一つだ。道路空間を多様な使い方に変えたり、目前では、タクシー業界も人材不足を補う人工知能(AI)の導入をいっそう進め、乗務員たちのストレスを減らしていきたい」
「AIについては、昔のタクシーに比べると今は車自体がコンピューターの塊みたいにできている。電気性能をはじめ自動ブレーキ、速度警告、勤務オーバー警告、最新カーナビによる音声誘導、健康管理システム、走行経路と時間記録の自動化、車載カメラ……。業界は利用してくれる乗客の皆さんの安心安全、正確な移動を全力で目指している」
昔、プロボクシングの世界王者が羽田空港へ向かう途中のタクシーで交通事故に遭ったが、この時の賠償金が1億円と話題になった。その後むち打ちは治ったらしいが、今の貨幣価値だと3億円以上である。
一人の乗務員の不注意から、中堅大手とも呼ばれた会社は倒産の危機に見舞われた。安心安全が大前提のタクシー。とにかく苦労の多い業界であることに変わりはない。
※記事中に登場する乗客のエピソードは、プライバシーに配慮し一部編集、加工しています。