物流危機を「宅配問題」に矮小化するテレビ報道 “メシウマ”視聴者と物流業界の広報不足が招く決定的誤解とは
なぜテレビは宅配のことばかり報じるのか?──業界関係者が抱えるこの不満には、消費者が“メシウマ”なネタを求めることと、物流業界が長年広報活動をおろそかにしてきたというふたつの課題がある。
もっと伝えるべき物流の重要性

企業間物流のニュースがテレビで日常的に報じられるようになるためには、まず宅配のように一般の人々にもわかりやすい物流から伝えていく必要がある。そして、そのためには、テレビのディレクターなどに物流の基本をしっかり理解してもらうことが重要だ。
ちなみに、筆者はテレビに出演する際、テーマに沿った説明資料を作成する。この資料作りは、ときには記事を書くよりも手間がかかるが、物流の重要性を理解してもらうためには欠かせない作業だ。
一方、ラジオではもっと深い内容を話せることもある。辛坊治郎氏の番組に出演した際、台本では筆者が説明すべきだった物流の2024年問題の説明を辛坊氏が代わりに行い、「というのが『物流の2024年問題』の説明ですが、専門家から見てどうなんですか?」といわれたとき、筆者は
「さあ、もっと本質的なことを話してくださいよ」
とチャンスをもらったように感じ、背筋がゾクゾクした。
日本社会が直面している物流クライシスに立ち向かうためには、人々の理解と協力が必要不可欠だ。だからこそ、物流に関わる人々だけでなく、一般の人々にももっと物流に関心を持ってほしい。実際、物流は皆さんの生活に深く関わっていることを、まだ多くの人が気づいていないだけなのだ。