北九州の台所「旦過市場」は本当に再生できるのか? 老朽化建物が続々解体、成功のカギを握る超重要な要因とは?

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北九州市の旦過市場の再整備が始まり、地域の食文化を支える120店舗が新たな形に生まれ変わる。商業施設の1階には生鮮食品市場が設置され、大学の新学部も誘致される。調査では82%が再整備に賛成しており、活気ある地域への期待が高まっている。人口減少が進む中で、地域特性を活かした価値創造が求められている。

高齢化社会が求める商業拠点

北九州市の旦過市場(画像:チェリーピッキングT永)
北九州市の旦過市場(画像:チェリーピッキングT永)

 旦過市場の今後の方向性について、調査結果から重要な示唆が得られる。

 まず、来訪者分析で示された五つの利用者タイプは、市場が単なる商業施設にとどまらず、多様な社会的機能を持っていることを示している。特に「おしゃべり・くつろぎ型」や「日和見型」は、市場が地域コミュニティーの接点として機能していることを表している。

 また、市民の商店街に対するニーズからは、高齢化社会における地域密着型商業施設の重要性が浮かび上がる。「近隣住民の身近な買い物場所」「高齢者や交通弱者のための買い物場所」への高い期待は、郊外型商業施設の増加が進むなかでも、旦過市場のような地域密着型市場の存在意義が失われていないことを示している。

 これらを総合すると、建物の刷新という物理的な変化があっても、旦過市場には地域の商業・交流拠点としての機能を維持・発展させることが求められている。特に、

・日常的な買い物の場としての機能
・地域コミュニティーのハブとしての役割

を両立させることが、再生のカギとなるだろう。

 北九州市は2024年にインバウンド需要の取り込みを目指した『北九州市インバウンド誘致アクションプラン』を策定している。このプランでは、外国人旅行者へのアンケート結果を基に、すしや焼き肉、ラーメン、焼きカレーなどの食文化体験や、昭和の風情が残る旦過市場での買い物が観光の魅力になっていると分析している。しかし、旦過市場の再生においては、

「インバウンド需要への依存」

は避けるべきだ。

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