北九州の台所「旦過市場」は本当に再生できるのか? 老朽化建物が続々解体、成功のカギを握る超重要な要因とは?

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北九州市の旦過市場の再整備が始まり、地域の食文化を支える120店舗が新たな形に生まれ変わる。商業施設の1階には生鮮食品市場が設置され、大学の新学部も誘致される。調査では82%が再整備に賛成しており、活気ある地域への期待が高まっている。人口減少が進む中で、地域特性を活かした価値創造が求められている。

市内全域で求心力低下の現実

魚町銀天街 (画像:写真AC)
魚町銀天街 (画像:写真AC)

 北九州市の『令和4年度北九州市商圏報告書』の分析では、小倉地区の深刻な状況が浮かび上がっている。

 まず、来街者の基本的な動向を確認すると、来街目的は「食事・喫茶・飲食」が最も多く、「日常の買物」や「ウィンドウショッピング」が続く。男性は「所用(仕事や銀行など)」「娯楽」「市役所などの公共機関の利用」の割合が女性より高い。また、交通手段は「自家用車」が最多で、次いで「バス」となっている。

 特に深刻なのは、小倉中心市街地への来街頻度の変化だ。報告書によれば、買い物目的に限らず、月に1回以上小倉を訪れる人は全体の31.5%にとどまっている。居住地別では、市内居住者が44.3%であるのに対し、市外居住者はわずか16.9%だ。

 さらに、来街頻度が2~3年前と比べてどう変化したかという質問では、全体で「非常に増えた」や「やや増えた」と答えた人は16.3%であるのに対し、「やや減った」や「非常に減った」と答えた人は43.0%に達しており、深刻な状況だ。

 特に懸念されるのは、この減少傾向が市内全ての行政区で見られる点だ。隣接する小倉南区では、増加層が9.5%に対して減少層が53.4%で、戸畑区でも増加層が8.7%に対し減少層が54.4%となっており、深刻な状況が示されている。小倉中心市街地のある小倉北区でさえ、増加層は16.9%に対し減少層は45.5%で、大幅な減少超過となっている。

 これらのデータは、小倉地区の求心力が

「市内全域で低下している」

ことを示している。特に隣接区からの来街者の減少は、地域の中心市街地としての機能が弱体化していることを示唆している。

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