北九州の台所「旦過市場」は本当に再生できるのか? 老朽化建物が続々解体、成功のカギを握る超重要な要因とは?
北九州市の旦過市場の再整備が始まり、地域の食文化を支える120店舗が新たな形に生まれ変わる。商業施設の1階には生鮮食品市場が設置され、大学の新学部も誘致される。調査では82%が再整備に賛成しており、活気ある地域への期待が高まっている。人口減少が進む中で、地域特性を活かした価値創造が求められている。
九州最大都市の栄枯盛衰

かつて北九州市は製鉄業を中心に発展し、
「九州最大の都市」(1963~1979年)
として人口100万人以上を誇っていた。しかし、製鉄業の衰退や企業の転出が続き、2024年10月1日時点で人口は90万8109人まで減少。わずか6年前の2018年10月には94万5595人だったので、約4万人の人口が減ったことになる。一方で、福岡市は「アジアの玄関口」として発展を続けており、両都市の対照的な状況が際立っている。
そんな長期の低迷のなかでも、旦過市場を含む小倉地区には回復の兆しが見え始めている。その象徴的な事例が、JR小倉駅前にある商業ビル「セントシティ北九州」の再生だ。このビルは1993年に「小倉そごう」が入居してオープンし、続いて地場百貨店「小倉玉屋」、さらに伊勢丹、最後に井筒屋が「コレット」として運営してきたが、どの百貨店も撤退を繰り返してきた。
2019年に「コレット」が撤退したことで、ビル運営会社・北九州都心開発(もともと、小倉そごう撤退後の運営のために地元出資で作られた法人)は危機を転機に変え、大胆な業態転換を実施。2021年にビル名を「セントシティ」に改め、ユニクロ、ザラ、無印良品といった大型専門店と地元発のテナントを組み合わせた複合商業施設として生まれ変わった。さらに、7~9階はオフィスに転換し、機能を複合化。この戦略は特に若い世代から支持を集め、成功を収めている。
ただし、この成功はあくまで小倉地区の一部であり、地区全体としては、まだ復活に向けた多くの課題が残されている。