現在の「絹ごし豆腐」は偽物ばかり? 絹で濾してないのに! その原因はなんと「軍用機」に関係していた
かつて絹の布で濾すことからその名がついた「絹ごし豆腐」。ところが現在は、絹布で濾さない「ニセ絹ごし豆腐」が売られている。このニセ絹ごし豆腐が生まれた背景には、第2次世界大戦における軍用機の生産があった。
軍用機生産に使われたにがり

ところが第二次世界大戦がはじまると、凝固剤であるにがりが使えなくなる。にがりが
「軍用機生産」
向けに優先的に供給されたからだ(市野尚子 竹井恵美子「東アジアの豆腐づくり」『論集 東アジアの食事文化』所収)(高橋勝美「製造技術の変遷から見た豆腐の一〇〇年」『生活学〈第25冊〉食の一〇〇年』所収)。
第二次世界大戦時の軍用機は、軽量で丈夫なジュラルミンという合金を使っていた。ジュラルミンは、アルミに少量の銅と微量のマグネシウムを混ぜることで、アルミ並みの軽量さと、アルミをしのぐ硬さを両方もちあわせる、飛行機に最適な合金。
にがりには海水由来の塩化マグネシウムが含まれていた。なので、にがりの多くは
「ジュラルミン製造」
に用いられるようになり、豆腐店が使用できなくなったのである。
豆腐店がにがりの代わりに使うようになった凝固剤が、石こう(硫酸カルシウム)。中国南部で伝統的に使われてきた豆乳の凝固剤だ。
硫酸カルシウムを豆乳に混ぜると、にがりとは異なる反応を見せる。にがりを使うと上澄み液と汲み豆腐に分離するが、硫酸カルシウムを使うと、ゼリーや寒天のように、分離せずに全体がゆっくりと固まっていくのである。
つまり汲み豆腐のように、布袋で包んで穴開きの木箱に入れて重しをし水分を抜かなくとも、寒天で固めるようかんのように豆腐ができてしまうのである。木綿や絹の布袋を使用する必要がなくなったのだ。