「SUVはもう限界」 衝撃の米国リポートが示す、車の巨大化&家計コストの知られざる関係

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都市部で進むSUVの大型化は、安全基準の厳格化や収益重視の流れを背景に拡大し、2008年に約2割だったSUV比率は2022年に半数超へ達した。一方で車両の小型化は、支出削減や事故減少、排出抑制など多面的な効果が指摘され、交通のあり方そのものが問われている。

乗用車大型化の進行と背景

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 昭和の日本映画を眺めていると、街をゆく車がいかに小さかったかに驚かされる。かつて子どもたちの憧れだったスーパーカーにしても、実はその多くが小柄な体躯をしていた。当時は、その凝縮感こそが格好良さの象徴でもあったはずだ。しかし、今の路上から2ドアクーペは姿を消し、代わりに巨大な車たちが幅を利かせている。実のところ、2、3人の移動が目的ならば、軽自動車で事足りるはずなのだが。

 とりわけスポーツタイプ多目的車(SUV)の巨大化は著しい。1990年代から親しまれてきた車種だが、2010年代後半に安全基準が厳格になったことで流れが変わった。衝突した際の衝撃を和らげる空間を作るため、車体の長さや幅を物理的に広げざるを得なくなった事情がある。これに、世界中で同じモデルを売ることで効率を高めようとするメーカー側の思惑が重なり、この10年から15年ほどで大型化は一気に加速した。

 この背景には、他者より大きな車に乗ることで身を守ろうとする、心理的な競争も透けて見える。大きな車が増えれば、相対的に小さな車の事故リスクが意識され、さらなる大型化を呼ぶ。そんな悪循環が生まれているのではないか。

 企業にしても、利益の出にくい小さな車より、高い値段を付けられる大型SUVを売りたいという本音が市場を支えてきた。だが、米国の非営利団体「交通開発政策研究所(ITDP)」が発表したリポートは、この風潮を看過できない問題として提起している。電気自動車(EV)への移行も急務だが、まずは際限のない巨大化に歯止めをかけ、車を小さくしていく。それが、今私たちが向き合うべき切実な課題となっている。

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