神戸ブランド失墜? 地下鉄海岸線なぜ20年以上も赤字? 累積欠損854億円! 甘い需要予測の裏にあった「根拠のない自信」
震災で沿線人口が大幅に減少

海岸線がここまで追い込まれた背景には、
「震災による人口減少」
の影響が大きい。市全体が政令指定都市でトップクラスの人口減少に苦しめられるなか、特に深刻なのが郊外のニュータウンとともに、海岸線沿線などの下町。長田区は1985(昭和60)年の人口約15万人が2024年9月現在で約9万人に。兵庫区は約13万人が約11万人に落ち込んでいる。
沿線を支えてきた造船業の地盤沈下も深刻だ。三菱重工神戸造船所は2012(平成24)年で商船建造から撤退し、防衛省発注の潜水艦や航空、原発関連機器などを基軸にしたが、多くの協力会社従業員が和田岬を離れている。
三宮・花時計前駅がJRや私鉄、ポートライナーの駅が密集する三宮地区の中心部から約350m離れ、微妙に使いにくいことや、神戸ハーバーランドが一時、利用の低迷で大型店撤退が相次いだことも響いたと見られる。だが、最大の原因が
「甘い需要予測」
にあることは否定できない。2013年に就任した久元喜造市長は記者会見などで度々、海岸線を失敗と断じてきた。3月に開いた高校生との対話集会では廃止を検討したことがあることを告白し、市の需要予測に対し
「どれだけ鉛筆をなめたのか」
と需要の水増しを示唆して首をかしげる一幕があった。
しかし、海岸線を廃止すれば三菱重工神戸造船所など和田岬駅近くで働く従業員の通勤に影響が出るほか、バスに切り替えるとしても運行本数が膨大になるとして、簡単に廃止できない苦しい胸の内も打ち明けている。
震災前の関西で神戸の街は、若者のあこがれだった。海岸線の工事に着手したころは既にバブル経済がはじけていたが、市OBは
「すぐに景気が回復し、神戸を目指して多くの若者がやってくるという根拠のない自信や楽観論があった」
と説明した。甘い需要予測の背景には“神戸ブランド”への過信が見え隠れする。