カートレインは時代を超えて復活するか? 「観光活性化」「環境問題」の時代に再評価、その利便性を再考する
カートレインの復活が議論されている理由には、CO2削減や観光業の活性化、技術の進化によるコスト削減がある。これまでの廃止の背景には、自動車の大型化やコストの問題があったが、最近では環境問題への関心が高まり、再評価の流れが生まれている。現在、7200億円の建設費がかかる青函トンネルの新プロジェクトも検討されており、技術と経済の両面から未来型移動手段として期待が寄せられている。
カートレインとは何か

乗用車を列車に乗せて長距離を移動できる「カートレイン」というサービスは、1985(昭和60)年から1999年まで日本でも運行されていたが、経済的な理由や車の大型化、利用者数の減少などから廃止された。カートレインは、運転の負担を減らし、長距離移動を快適にするサービスとして人気があったが、これらの問題により存続が難しくなった。
特に、家族連れや長距離ドライブを避けたい人々には非常に魅力的な選択肢だった。例えば、東京から九州や北海道への旅行では、運転の疲れを軽減しつつ、目的地に着いた後も自分の車で移動できるという利便性があった。さらに、交通渋滞や高速道路の料金を気にせず移動できる点も好評だった。
しかし、カートレインの運行にはいくつかの課題もあった。国際交通安全学会(IATSS)によると、まず専用の貨車や設備が必要で、運行コストが高くなった。また、自動車が大型化するにつれて、貨車に積める車両の種類が限られてきた。さらに、航空機や高速道路の発展によりカートレインの需要は減少し、これが廃止の一因ともなった。
一方、海外ではドイツなど一部の国でカートレインが今も運行されており、米国のアムトラックは「オートトレイン」という名前で、フロリダ州サンフォード駅とバージニア州ロートン駅間で運行している。2022年には「オートトレイン」の年間利用者数が約28万人に達するなど、需要が高い状況だ。
こうした海外での運行事例を受け、日本でも近年カートレインの復活が議論され始めている。なぜ今、このサービスが再び注目されているのか、その背景を探ってみたい。