物流倉庫バイトのリアル! 「パワハラ」「セクハラ」少ないのに、人材流出が止まらないワケ

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物流倉庫でアルバイトをする筆者は、コミュニケーションが少ないため働きやすい。職場は静かで、他の人と話す必要がほとんどなく、ハラスメントのリスクも低い。ただし、厳しい作業環境や低賃金、離職率の高さが問題だ。特に体力的な負担が大きく、アルバイトの多くが続かず、新人が次々に辞めてしまう。コミュニケーションがないことで作業効率が低下し、悪循環に陥っている。この状況を改善するためには、賃金の引き上げや教育の充実が必要だ。労働環境を整えることで、人材の定着が促進されるだろう。

無言の職場に潜む絆

物流倉庫のイメージ(画像:写真AC)
物流倉庫のイメージ(画像:写真AC)

 どうやら、一緒に働いているバイトの方たちを見てみても、あまり会話をしたくない、もしくは、話すのが苦手というタイプが多い。ぼくも基本的に話しかけないので、名前すらわからない人もいる。「おはようございます」とあいさつしても、無視する人もいる。そのときはさびしい気持ちにはなるけれど、その点が気にならなければ、コミュニケーションが苦手な人にとって働きやすい仕事だと思う。

 例えば、最近では「パラハラ」や「セクハラ」への対策が必要となっている。その点でも、物流倉庫のバイトは優れている点がある。

 少しの間だけ、田中さん(仮名)という人と一緒に働いたことがあった。別の仕事を定年退職したあと、繁忙期の短期バイトで採用されたおじさんだった。田中さんはおしゃべりが大好きで、休憩中によく話しかけてきた。ピッキング作業中でも田中さんは話したそうにしていた。けれども、みんな忙しく立ち回っているので話しかけることができず、フラストレーションをためているようだった。こっちに聞こえるように独り言をよくいっていた。

 その日はめずらしくピッキングの仕事がなかった。ならべられた商品にタグをつける、というイレギュラーな業務だった。その作業中、同じテーブルの20代の女性のバイトさんが、あやまって指先をきずつけてしまった。普段は会話がない職場でも、そんな緊急事態では助け合う。手分けして、血を止めるためのティッシュを用意したり、消毒液やバンドエイドをとりに行ったりした。

 幸いにも、ケガは大したことなく、すぐに作業が再開されたのだが、例によって田中さんがその女性にむかっておしゃべりを始めた。スーパーで働いていたとき、足を滑らせて骨にヒビが入った、という話だった。

「けれども、もう骨折は完治したけどね、完治完治完治」

と田中さんは笑っていた。そして、しばらくのあいだ「完治完治完治」と連呼していた。女性のほうは「はあ……?」と戸惑っている様子だったが、田中さんはかまわずしゃべり続けていた。

「完治、なんちゃって。完治って知らないかな、いまの若い子は。かーんちって」

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