物流倉庫バイトのリアル! 「パワハラ」「セクハラ」少ないのに、人材流出が止まらないワケ
物流倉庫でアルバイトをする筆者は、コミュニケーションが少ないため働きやすい。職場は静かで、他の人と話す必要がほとんどなく、ハラスメントのリスクも低い。ただし、厳しい作業環境や低賃金、離職率の高さが問題だ。特に体力的な負担が大きく、アルバイトの多くが続かず、新人が次々に辞めてしまう。コミュニケーションがないことで作業効率が低下し、悪循環に陥っている。この状況を改善するためには、賃金の引き上げや教育の充実が必要だ。労働環境を整えることで、人材の定着が促進されるだろう。
会話なしの快適職場
ぼく(綿野恵太、文筆家)は文筆業のかたわら、地方の物流倉庫でアルバイトをしている。この記事では、働いている人間のリアルな視点で、この仕事のよい点と悪い点を伝えたいと思う。といっても、個人的な体験に基づくので、あくまでも一例だと捉えてもらいたい。
倉庫で働くメリットは、
「コミュニケーションの必要があまりない」
ことだと感じている。具体的な作業を説明すると、商品のピッキングと発送準備をしている。手持ちのハンディターミナル(携帯端末)の指示にしたがって商品を運んでくる。ダンボールで梱包して運送業者に引き渡すまでが、メインの作業だ。
この間、だれとも話さずにひとりで作業を進められるようになっている。ひとつの作業を分担したり、お互いに協力したりする必要がない。だから、会話をしなくて済むのだ。同じフロアでは十数人のバイトが働いていて、みな忙しく歩き回っているが、シーンとしている。ときおりパレットを床に置く音が響いて、トラックやフォークリフトの走行音が遠くから聞こえてくる。そんな静かな職場である。
ぼくは高校生のころ、ひきこもりだった。昔ほどではないが、いまでも他人と会話するのが苦手だ。
「なんで見ず知らずの人間に頭さげなあかんねん」
とムカつく性分なので、接客業なんてもってのほか。そんなぼくにとって、会話の少ない物流倉庫はとても働きやすい職場だった。