年間400万台を海上輸送! 意外と知らない「自動車運搬船」の実力とは? 輸出入の秘密に迫る
					自動車運搬船は、年間400万台以上の車両を効率的に輸送するための専用貨物船だ。この船は最大8000台を一度に運べて、積み込みは自走式のRo-Ro方式で行う。環境への配慮が求められる中、代替燃料やEVの安全輸送対策も進化している。自動車運搬船は、日本の自動車輸出に不可欠なインフラだ。				
				
				仕組みと構造

自動車運搬船は、車両の積み下ろしを効率的に行うためのさまざまな仕組みを備えている。
●多層甲板構造
 自動車運搬船の内部は、何層もの甲板を持つ巨大な立体駐車場のような構造になっている。自動車は自走で積み込まれるため、各甲板の間にはスロープが設けられている。一部の甲板は高さを調整できるようになっており、トラックなどの車高が大きな車両に合わせて甲板の高さを柔軟に変更できる。この仕組みにより、荷役効率が向上している。
●ランプウェイ
 自動車運搬船では、車両を積み込む際にランプウェイと呼ばれるスロープを使用する。専門のドライバーが運転して車両を積み込んでいく。ランプウェイは通常、船尾や船首に設置されており、車両がスムーズに移動できるように設計されている。この自走式の積み込み方法は、前述のRo-Ro方式と呼ばれる。
●車両の固定装置
 船内で車両が動かないようにするため、甲板には固縛ポイントがあり、ベルトを使用して車両を固定する。これにより、船が波に揺れても車両がずれたり損傷したりするリスクが大幅に減少する。また、車両の間はわずか10cmほどしか空いておらず、ドライバーの腕の高さが確認できる。
●艙内の安全
 自動車運搬船には、車両が自走することによるガスや湿気を除去するための換気システムが装備されている。また、消火設備や火災の早期発見のための探知機も備えられており、火災の拡大を防いでいる。
●船体の形状
 自動車運搬船は高さのある巨大な構造物であるため、海上を航行する際に風の抵抗を大きく受けることがある。これにより、まっすぐ航行できない場合もある。そのため、船体のコーナー部分をカットして風が流れやすくする工夫がされている。