台風10号接近! そもそも「計画運休」というアクションはいつから始まったのか? 鉄道業界の“安全革命”を振り返る
台風15号が生んだ新常識

この計画運休の実施後、JR西日本は以下の結果を報告した。
・21路線の運休により影響は約48万人
・台風が予測より弱い勢力で上陸したため、運休開始は早すぎた可能性がある
・被害が少なかったが運転再開を前倒しするための人員配置ができていなかった
(『読売新聞』2014年12月3日朝刊)
こうした検証を経て、JR西日本は計画運休の継続を決め、これが鉄道業界の“常識”を変えるきっかけとなった。
転換点となったのは、2018年9月の台風21号だ。この台風では西日本で大規模な被害が予測され、南海電鉄と京阪電鉄も「早めの告知が必要」として、計画運休を実施した。これまで可能な限り運行を続けてきた私鉄が計画運休を導入したことで、計画運休は災害時の全国的な常識として受容されていくことになった。
また、この台風21号の際には、多くの商業施設や企業も従業員や顧客の安全を最優先に休業を決定し、社会全体で安全を優先する風潮が広がった。初めは批判されたJR西日本の決断が、結果的に世の中の常識を大きく変えるきっかけとなったのである。報道では各企業の対応を次のように紹介している。
「高島屋は台風上陸前日の3日に大阪府と京都府の計5店舗で4 日の休業を決めた。鉄道各社が運休を決めたことに加え、最近続いた災害で社員の防災意識が高まっていたことが迅速な判断につながったという。洛西店(京都市西京区)では天窓のガラスが割れる被害があり、担当者は「もし開店していたらお客様や従業員がけがをしていたかもしれない」と胸をなで下ろした。大和ハウス工業は3日、大阪府や兵庫県など近畿圏の支社や工場の休業を決め、約3千人が出勤を見送った。「記憶する限りここまで思い切った対応は初めて」(担当者)という。実際、堺市にある支社では天井の落下や窓ガラスの破損があり「従業員が近くにいたらけがをした可能性もあった」と振り返った」(『神戸新聞』2018年9月18日付)
こうした企業の対応の変化もあって、計画運休はさらに広がっていった。2019年9月の台風15号では、首都圏でもJR東日本をはじめ多くの私鉄が計画運休を実施し、定着した。