物流存続に不可欠な“痛みをともなう”大変革の行方【短期連載】フィジカルインターネットの課題を考える(3)

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フィジカルインターネットの議論は始まったばかりだ。旧来の物流システムを革新するがゆえに、否定意見も噴出するだろう。第3話となる本稿では、それでもフィジカルインターネットを実現すべき理由を考える。

アナログ、属人…変革待ったなしの物流業界

物流の現場を支えるトラックドライバーのイメージ(画像:写真AC)
物流の現場を支えるトラックドライバーのイメージ(画像:写真AC)

 フィジカルインターネットは、インターネットの仕組み、とりわけ、シェアリング(共有)とコネクト(連携)をまねることで、荷主間にある壁、物流事業者間にある壁、運べる/運べない貨物の壁などを取り除き、限りなくオープンな物流ネットワークを創り上げることで、究極に最適化された物流を目指す「共同輸送サービス」の概念である。

 その詳細は、本連載の第1話(2022年3月15日配信)を確認してほしい。

 物流ビジネスは、労働集約型産業の典型である。トラックドライバーや倉庫作業員など、実際に貨物を扱う多くの人の手が、物流ビジネスでは必要とされてきた。

 また、受発注のやり取りや配送状況の確認など、物流に関する情報伝達では、いまだ電話やファックスが利用される。トラックの運行計画を決定する配車業務では、熟練の配車担当者の勘と経験に頼るなど、属人化されたアナログ業務も多い。

 こういった状況にも関わらず、ECビジネスの拡大や日時指定輸送の増加など、物流ビジネスは、より高度なサービスの提供とキャパシティー拡大を求められてきた。

 これまでは物流従事者たちの努力によって、物流ビジネスは社会要求に応えてきた。だが少子高齢化による人口減少が進む日本社会において、今のやり方で10年、20年先の物流を継続するのは、もはや不可能だ。

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