大規模システム障害が暴露した航空業界の「過度なIT依存」 システムの高度化にともなう“ブラックボックス化”への懸念とは

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現代の航空業界はITなしでは成り立たないが、過度の依存は脆弱性を生む。システムダウンやランサムウエア攻撃のリスクは高まっており、業界の根本的な見直しが急務となっている。

ランサムウエアの脅威

ジョージ・オーウェル『1984年』(画像:早川書房)
ジョージ・オーウェル『1984年』(画像:早川書房)

 さらに、将来的に

「人為的なシステムダウン」

の可能性も念頭に置かなければならない。

 具体的には、例えばランサムウエアの問題である。ランサムとは「身代金」を意味する英単語で、感染したコンピューターをロックしたり、ファイルを暗号化したりすることで、標的となる企業や組織の情報ネットワークを無力化し、ネットワークを元の状態に戻す代わりに身代金を要求する手法である。

 2022年10月には大阪急性期・総合医療センターがこの被害に遭い、かなり深刻な事態となったが、最近ではKADOKAWAがこの攻撃を受け、深刻な事態に陥っている。

 そもそも、基幹産業は今後ランサムウエアのターゲットになる可能性が高い。金銭目的でなくとも、一般的にテロでは交通機関や放送などの国家インフラが最も効果的なターゲットになるといわれている。大阪万博(2025年4月開催予定)を控え、テロ対策を強化する日本にとって、ITの脆弱性克服は喫緊の課題だ。

 その対策のひとつが、実はなかなか難しいのだが、「便利そうだから」という理由で安易に導入しないことである。「何かが起こるかもしれない」という前提で、どこまで対策を練れるか――この「想像力」が求められる。

 重要なのは、業務プロセスの根本的な意義を理解した上でIT技術が活用されているかどうかである。今一度、業界の原点に立ち返り、自らの業務プロセスを見直し、学び直す必要がある。

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