2024年に運航開始 ヤマト「クロネコ貨物機」に見る外資パワーゲームの脅威
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30年前の苦い過去

前述のようにヤマトにとって貨物専用機は悲願で、航空貨物には何度も挑んでいるものの苦難が続いている。
1991(平成3)年にJALの子会社として旗揚げした日本ユニバーサル航空(JUST)に、ヤマトは日本通運とともに資本参加した。だが、搭載量100tを誇る超大型のジャンボ機・ボーイング747‐200機が1機のみで振り回しが難しく、しかも肝心の羽田空港の発着枠が足りずに自由に飛ばせなかった。さらには、バブル崩壊や湾岸戦争の発生で景気後退が直撃し、ほぼ1年で運航停止に陥ってしまった。
2012年には、ANAグループと沖縄県が共同で挑む那覇空港の一大航空貨物拠点構想「沖縄国際物流ハブ」に参画した。那覇を自転車の車軸(ハブ)のように中心に置き、国内やアジアの多数の空港を結んで航空貨物サービスを展開するというもの。国際宅急便/国際クール宅急便の最短翌日配送、という高付加価値サービスで収益アップというのがヤマト側の胸算用だった。
だが戦略は苦戦。2拠点を結ぶ国際LCCが急増し、LCCの機体の下部貨物スペース(ベリー〈おなか〉)も急伸した。このため沖縄ハブは苦戦し、当初ANAグループの自前貨物専用機で幹線を結ぶのが沖縄ハブの神髄だったが、やがてこれを諦め、現在は旅客機のベリー便活用とトーンダウンしている。
世界を牛耳る三羽がらす

では、なぜヤマトは貨物専用機の保有にこだわるのか。
それは、日本国内では宅配業者トップではあるものの、世界に目をやればあまりにも弱小だからだ。同社には、このままではドメスティック(国内)な陸運配送業者のままで、世界の巨大物流企業の下請けにすぎなくなるとの危機感がある。
世界の物流業界では、大型貨物専用機を100機以上保有する巨大国際宅配業者「三羽がらす」が君臨する。
1.米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)
2.米フェデックス
3.独ドイツポストDHL(DPDHL)
がそれだ。
とある調査では、2020年における世界の物流市場規模約2兆2000億ドル(約250兆円)のうち、トップは中国郵政(中国)で、市場シェアは約7.5%と際立っている。これは世界第2位の国内総生産(GDP)と、世界最大の14億人超の人口を背景にしたドメスティックな郵便・小包需要によるところが大きい。
ワールドワイドな国際宅配事業は前述3社の独壇場で、シェアは2位のUPSが3.9%、3位のフェデックスが約3.8%、4位のDPDHLが約3.5%とほぼ拮抗(きっこう)している。ちなみに日本郵便は6位(約1.6%)、日本通運は10位、ヤマトHDは14位(約0.7%)、佐川急便を傘下に持つSDホールディングスは15位にすぎない。