2024年に運航開始 ヤマト「クロネコ貨物機」に見る外資パワーゲームの脅威

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ヤマト運輸は2022年1月、JALと航空貨物で提携すると発表した。同社にとっては悲願の貨物専用機の保有を低コストで実現できることになる。

30年前の苦い過去

羽田空港(画像:写真AC)
羽田空港(画像:写真AC)

 前述のようにヤマトにとって貨物専用機は悲願で、航空貨物には何度も挑んでいるものの苦難が続いている。

 1991(平成3)年にJALの子会社として旗揚げした日本ユニバーサル航空(JUST)に、ヤマトは日本通運とともに資本参加した。だが、搭載量100tを誇る超大型のジャンボ機・ボーイング747‐200機が1機のみで振り回しが難しく、しかも肝心の羽田空港の発着枠が足りずに自由に飛ばせなかった。さらには、バブル崩壊や湾岸戦争の発生で景気後退が直撃し、ほぼ1年で運航停止に陥ってしまった。

 2012年には、ANAグループと沖縄県が共同で挑む那覇空港の一大航空貨物拠点構想「沖縄国際物流ハブ」に参画した。那覇を自転車の車軸(ハブ)のように中心に置き、国内やアジアの多数の空港を結んで航空貨物サービスを展開するというもの。国際宅急便/国際クール宅急便の最短翌日配送、という高付加価値サービスで収益アップというのがヤマト側の胸算用だった。

 だが戦略は苦戦。2拠点を結ぶ国際LCCが急増し、LCCの機体の下部貨物スペース(ベリー〈おなか〉)も急伸した。このため沖縄ハブは苦戦し、当初ANAグループの自前貨物専用機で幹線を結ぶのが沖縄ハブの神髄だったが、やがてこれを諦め、現在は旅客機のベリー便活用とトーンダウンしている。

世界を牛耳る三羽がらす

ヤマトホールディングスのウェブサイト(画像:ヤマトホールディングス)
ヤマトホールディングスのウェブサイト(画像:ヤマトホールディングス)

 では、なぜヤマトは貨物専用機の保有にこだわるのか。

 それは、日本国内では宅配業者トップではあるものの、世界に目をやればあまりにも弱小だからだ。同社には、このままではドメスティック(国内)な陸運配送業者のままで、世界の巨大物流企業の下請けにすぎなくなるとの危機感がある。

 世界の物流業界では、大型貨物専用機を100機以上保有する巨大国際宅配業者「三羽がらす」が君臨する。

1.米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)
2.米フェデックス
3.独ドイツポストDHL(DPDHL)

がそれだ。

 とある調査では、2020年における世界の物流市場規模約2兆2000億ドル(約250兆円)のうち、トップは中国郵政(中国)で、市場シェアは約7.5%と際立っている。これは世界第2位の国内総生産(GDP)と、世界最大の14億人超の人口を背景にしたドメスティックな郵便・小包需要によるところが大きい。

 ワールドワイドな国際宅配事業は前述3社の独壇場で、シェアは2位のUPSが3.9%、3位のフェデックスが約3.8%、4位のDPDHLが約3.5%とほぼ拮抗(きっこう)している。ちなみに日本郵便は6位(約1.6%)、日本通運は10位、ヤマトHDは14位(約0.7%)、佐川急便を傘下に持つSDホールディングスは15位にすぎない。

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