トラック業界に蔓延する「買い叩き」 下請法運用基準の見直しより、もはや「高額罰金」しかないのか?

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公正取引委員会は4月1日、下請法の運用基準改正(案)を公表した。人件費や燃料費の高騰を適切に転嫁するためのルールを明確化するのが改正の目的だ。物流業界では価格転嫁が進んでおらず、制裁金など厳しい対応が必要との指摘もある。

背景には依然として存在する「買いたたき」

日産自動車のロゴマーク(画像:EPA=時事)
日産自動車のロゴマーク(画像:EPA=時事)

 下請法運用基準の見直しの背景には、依然として買いたたきが存在しているからだ。

 公正取引委員会は、3月7日には日産自動車を下請法違反(不当な下請代金の減額)で勧告し、3月15日にはダイハツ工業など10社を価格転嫁要請に応じなかったとして公表している。もちろん、公正取引委員会が公表した事例は、買いたたきの一部にすぎないというのはいうまでもない。4月上旬に公表された中小企業白書・小規模企業白書概要(案)では、

「価格交渉が可能な取引環境が醸成されつつあるが、コスト増加分を十分に転嫁できておらず、転嫁率向上のための取組強化が課題」

と指摘している(中小企業庁の資料より)。

 2023年9月に実施された価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果では、価格転嫁が進んでいる業界とそうでない業界がはっきりみてとれる。ここで、コスト増に対する転嫁率の上位3位と、下位3位をみてみよう。

1位:化学59.7%
2位:食品製造53.7%
3位:電機・情報通信機器53.4%

25位:通信32.6%
26位:放送コンテンツ26.9%
27位:トラック運送24.2%

 コスト増に対する転嫁率の全業種平均は45.7%だ。日本全体では、コストの増加による価格転嫁を受け入れられているのは半分にも満たない。特にトラック運送業会は、その他を除く27業種中、24.2%と

「最下位」

であり、物流業界においては価格転嫁が進んでいないことがわかる。また、トラック運送業界に対する下請Gメンヒアリング等では、

・発注企業に価格交渉を申し込むも相場価格が上昇していないという理由で価格を据え置かれた
・コロナ禍前に労務費がわずかに値上げされたが、以降は据え置かれている。価格交渉を申し入れたが応じてもらえない
・発注企業に労務費の値上げを要求しても「要求してくるのはあなただけだ」と返答される。さらには、競合があることにつけこみ「この価格でいいなら発注する」と通告された

と、生々しい実態があきらかにされている。

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