トラック業界に蔓延する「買い叩き」 下請法運用基準の見直しより、もはや「高額罰金」しかないのか?
公正取引委員会は4月1日、下請法の運用基準改正(案)を公表した。人件費や燃料費の高騰を適切に転嫁するためのルールを明確化するのが改正の目的だ。物流業界では価格転嫁が進んでおらず、制裁金など厳しい対応が必要との指摘もある。
促進すべき価格転嫁

下請法は、公正取引委員会による勧告・指導が中心であるが、そもそも法的効力を持たない。指導よりワンランク上の勧告ですら、行政が一定の行政目的の実現のために、特定の者にある行為をするように求めるなどする行政指導にすぎない。
やはり直接的な痛みがともなわなければ、現状が維持されるだけではないだろうか。
物流業界における買いたたきや不当な役務の強要は、日本だけでなく世界的な課題だ。例えばスペインでは、トラックドライバーに対して荷物の積み下ろしといった不当な役務を強要した場合は罰金が科せられている。罰金額は、
・初犯:4001~6000ユーロ(約70~100万円)
・12か月以内に再犯した場合:6001~18000ユーロ(約100~300万円)
となる。日本では、2023年7月に“トラックGメン”を創設し、親事業者による
・運賃や料金の不当な据え置き
・無理な運送依頼
・長時間の荷待ち
などの違反行為に対する是正・指導を行っている。しかしながら罰則はなく、要請に従わなかった場合に勧告・公表される程度である。
2024年1月に、国土交通省は要請後もなお違反行為をしているとして、
・王子マテリア(東京都中央区。王子グループに属する製紙会社)
・ヤマト運輸(同)
に対し勧告・公表を行ったのは記憶に新しい。このことからも、大企業ですら行政による要請ぐらいでは従わないのが現実といえよう。
性善説に基づくのではなく、高額な罰金をちらつかせてでも下請法を順守させる時にきているのかもしれない。