全国各地で減便&廃業! もはや「路線バス」という発想自体が古いのだろうか【連載】ホンネだらけの公共交通論(10)
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「路線バスという発想自体が時代遅れなのか」とさえいいたくなるほど、バス事業自体が廃業に追い込まれている地域も多い。
ドライバー不足とオンデマンドバス

「2024年問題」が顕在化するなか、路線バスドライバー不足がクローズアップされている。筆者(西山敏樹、都市工学者)はこれまで当媒体で、カスタマーハラスメントや利用者減少による給与水準の低下など、バスドライバーを取り巻く環境の悪化について伝えてきた。
運行本数の確保が難しくなったことで、路線の減便や廃止、さらにはバス事業そのものの廃業が全国各地で起きており、ここまで来ると、もはや
「路線バスという発想自体が古いのか」
という疑問さえ湧いてくる。
筆者はこれまで、オンデマンドバスについて企業各社と調査を行ってきた。オンデマンドバスとは、あらかじめルートやダイヤが決まっていないことを最大の特徴とする予約型バスのことである。
乗客がスマートフォンやパソコンから乗降する日時や場所を指定し、AI(人工知能)が最適なルートを提供することで、ドライバーの労力やエネルギー、コストの削減を目指す。まさにオンデマンド、つまり乗客のニーズに合わせて運行する新しいスタイルの乗り合いバスだ。
一般的に、ダイヤがあるため、「いかにそれに合わせて運行本数を確保するか」を考えがちであるが、オンデマンドバスは、それを打ち破る乗り物といえる。