岡山市「バス路線」再編案で公共交通の新時代へ! 「公設民営」とは何か? 市民の移動自由を拡大する戦略に迫る
企業の戦略転換

激しい競合のなかで、各社は自社の利益を優先し、利用者の利便性を犠牲にしてきた。
このため2018年の西大寺路線での問題を契機に、岡山市では協議会を立ち上げ各社に路線の再編を呼びかけた。しかし、各社の意見は容易にまとまらなかった。協議会自体も一時は停滞。2023年6月に再開されるまで2年4か月も中断する事態にもなっていた。
そうしたバス会社が、利害を超えて意見の一致をみた点で、今回の計画案は極めて画期的なのである。地方公共交通に関するシンクタンク・NPO法人公共の交通ラクダ(RACDA)の会長である岡将男氏は、その理由をこう語る。
「やはり新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きかったと思います。各社とも大幅な減収が続き、今までどおりに競争することは無理になりました。それで、ようやく話し合いをする機運が生まれたのです」
とりわけ大きな変化は、八晃運輸が火種となっていた西大寺線からの撤退を決めたことだ。同社が撤退を決断した理由は、再編案でバス網を都心・幹線・支線にわける案が示されたことだ。同社は、西大寺線から撤退する一方で支線の運行の受け皿になる見込みだ。
再編の実施で、公共交通の利用者が増加することへの期待は大きい。全輸送機関の輸送人数に占める各輸送機関の輸送人数の割合は「輸送分担率」と呼称される。2023年に岡山県が行った調査では岡山市内の電車バス分担率は多い順に
・北区:12.3%
・中区:8.7%
・東区:8.2%
・南区:4.5%
となっている。特に南区は主要な公共交通機関がバスであるにも拘わらず数値が低い。これは、バスが利用のニーズに合致していないことを示している。前述の岡氏は政令指定都市として
「電車バスの分担率を全域で20%ほどにすべきだ」
だと語る。再編案によって、その目標にどれだけ近づけるか、注目が高まる。