元中級幹部自衛官の私が、日本の「ウクライナ軍事支援」に断固反対する3つの理由 背後にちらつく“武器輸出解禁”という口実とは
ウクライナを救うために、日本も米国や欧州のように武器弾薬を援助すべきだという意見がある。防衛、外交、安全保障に携わる人々はそれを推進しているが、まったく相手にされていない。なぜか。
ウクライナ苦戦、援助の必要性疑問

第2は、現状は危機的状況でもない。
ウクライナはその状態から脱している。首都陥落や国軍の総崩れといった破滅的事態は今では考慮する必要はない。
たしかに苦戦はしている。反攻は頓挫した。2014年の国境はおろか2022年の境界線の回復も厳しい。
しかし、現状の苦戦までも助けるべきかは疑問である。侵略者の前に亡国の危機にあるならば武器弾薬の援助もわからなくもない。その際には日本も軍服や車両を送った。ただ、頓挫した反攻の再開や最終的な領土回復となると別である。それはウクライナ人が努力して解決すべき問題である。
沈没船から脱出した漂流者を救うのは万人に課せられた義務である。だが、その沈没船を引き揚げて引き渡すのは義務ではない。
しかも、日本には反攻ほかの援助するまでの利害関係もない。たしかに日本は侵略者のロシアを非難している。ウクライナによる領土回復も支持している。ただ、
「武器弾薬を援助をしてまで領土回復を助けるまでの関係」
ではない。