ANAの貨物料金値下げ「10分の1」は本当に成功する? 空港積み替え・対応時間に懸念あり、今後柔軟に対応できるか

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ANAは4月から、10~17時に限り、国内線航空貨物料金を最大10分の1に引き下げると発表した。この決断の可能性とデメリットとは。

高速輸送による市場拡大

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 航空輸送とトラック輸送を効果的に組み合わせることで、トラックドライバーの負担を軽減することができる。

 つまり、長距離輸送を行う場合、従来はトラックドライバーが荷主から荷物を受け取ってから最終目的地まで、ときには長距離(例えば九州から東北や北海道まで)を長時間かけて輸送しなければならなかった。

 しかし、航空機と役割を分担することで、トラックドライバーは荷主から貨物輸送を扱う最寄りの空港まで貨物を運ぶだけでよくなり、相手先では、別のドライバーが空港から最終目的地まで運ぶ。

 これにより、ドライバーの1回の運転時間が短縮され、ドライバーの

「精神的・肉体的負担」

が軽減され、事故の可能性も低くなる。

空港での荷物積み替え問題

JR貨物のウェブサイト(画像:JR貨物)
JR貨物のウェブサイト(画像:JR貨物)

 しかし、問題は空港での荷物の積み替えをいかにスムーズに行うかである。

 実際にCO2削減の社会実験として行われている鉄道とトラックの複合輸送の場合、トラックを直接鉄道で輸送し、目的地の最寄り駅に到着後、降車して最終目的地まで輸送することができる。

 ドライバーも鉄道の出発駅と到着駅で交代すれば問題はない。この方式は日本でもすでに行われているが、JR貨物は自社でレールを所有していないため、レールを所有するJR東日本などの鉄道会社からレールの使用許可を得なければならない。

 ただ、レールの所有者は自社の利益を優先するため、旅客輸送を優先するダイヤを組み、貨物輸送は後回しにされ、その結果、トラックによる直接輸送よりも所要時間が長くなり、荷主から選ばれないという問題が発生する。

 航空機とトラックの場合、トラックをそのまま航空機に積み込むことは現段階では想定されていない。したがって、その積み替えにどれだけの時間と労力を要するかが問題となる。

 トラックへの積み込み段階から、航空機に搭載するコンテナに貨物を保管しておけば、航空機に積み込むだけで済む。これは時間と労力の節約になるが、成功するかどうかは、規格品であるコンテナを使って収益性の高い荷物を集められるかどうかにかかっている。

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