トラックドライバー「10%賃上げ」は現実的か? 基本給を低く抑える“給与体系”が生み出す運送業界の歪みとは

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政府は、トラック運転手の賃金を約10%引き上げることができると想定している。この目標は本当に現実的なのだろうか。

岸田首相の発言

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 最近、賃上げが世間の大きな関心を呼んでいるが、トラックドライバーの賃上げに関しても、少し前に注目すべき動きがあった。

 2月16日のことだが、総理官邸で物流業界との意見交換会を開催した岸田首相は、

「トラックドライバーの賃金を10%前後引き上げることを期待する」

旨の発言を行ったのである。

 この発言の背景にあるのは、トラックの「標準的な運賃」の値上げである。トラック運賃の目安となる「標準的な運賃」は、このほど8%程度の値上げが告示された。現在は6月の施行を待つ段階にある。

 運賃の値上げが仮に浸透すれば、ドライバーの給与も上げられるのではないか。このような見通しによって、政府では、10%程度の賃上げが実現できると想定しているようである。

 この目標が果たして現実的なものかどうか――が本稿のテーマである。

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