「当事者が払え」「企業努力が足りない」 日本人はなぜ“公共交通”を税金で支える感覚がないのか?【連載】ホンネだらけの公共交通論(1)

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「交通税」に対しては、特に自家用車利用者の間で強い反対がある。日本人は、全ての人のために公共交通を守るという価値観が希薄なのだ。

運賃による整備費用

近江鉄道(画像:写真AC)
近江鉄道(画像:写真AC)

 国は「第2次交通政策基本計画」(2021年5月閣議決定)において、バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進にかかる費用を運賃に上乗せし、整備を加速させる方向性を示した。

 こうした流れを受けて、国土交通省は2021年12月24日、「鉄道駅のバリアフリー化により受益する全ての利用者に薄く広く負担を頂く制度」の創設を発表した。同時に、市町村のバリアフリー基本構想の対象駅では、バリアフリー化・ユニバーサルデザイン化を推進するための整備費に対する国の補助率を1/3から1/2に引き上げることになった。

 この費用上乗せ方式の方向性は、「原則対象設備の整備費用等を超えない範囲」として、「設備の供用開始後から、総徴収額回収が終了するまでを原則」とするものである。

 推進費用を運賃に上乗せする考え方は、鉄道路線を新設する際に工事費を運賃に上乗せする「加算運賃制度」と似ている。これは、受益者が緊急の施設改善に必要な資金を負担し、プロジェクトの実現を図る方法である。

 JR西日本と南海電気鉄道の関西空港線、JR西日本とJR四国の瀬戸大橋線など、多くの生活者のために大規模なインフラ投資が必要な鉄道路線で採用され、皆で負担するイメージだ。

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