路線バス危うし! 最大の問題は朝夕ボリュームゾーンの「ドライバー数調整」である【連載】ホンネだらけの公共交通論(2)

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「2024年問題」が世間の注目を集めている。バスの場合、運転手の長時間労働を防ぎ、労働環境を改善・維持するために基準等が設けられた。まずはその変更点を見てみよう。

バスドライバーに訪れる変化

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

「2024年問題」が世間の注目を集めている。2024年問題とは、「時間外労働の上限規制」を中心に、労働の拘束時間を見直す制度的な流れのことである。

 2019年から「働き方改革関連法(改正労働基準法)」が施行されており、これに関連して、時間外労働の上限規制が設けられることになった。

 バスの場合、ドライバーの長時間労働の防止や労働環境の改善・維持のために基準などが設けられた。まずはその変化を見てみよう。

バス業界の新ルール

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 まず、バスドライバーの時間外労働時間の上限規制基準だが、2024年4月以前は残業時間の法定制限すらなかった。2024年4月以降、残業時間の上限は

・月45時間
・年360時間(特別な事情がある場合のみ年960時間を上限とする)

が基本となっている。

 バスの場合は不足分を追加運転で補うことが制限され、バスドライバーの拘束時間の上限も変更されることになった。

・2024年4月以前:年間3380時間
・2024年4月以降:年間3300時間(原則)

 4週平均1週および1か月の拘束時間は、2024年4月以前が4週平均の1週間あたりで原則65時間(月換算で281時間)、最大71.5時間(月換算で309時間)が上限であった。

 2024年4月からは、上限が原則月281時間、上限294時間となる。なお、281時間を超える月は連続4か月を超えてはならない。また、1日の休息時間、つまり退勤から次の出勤までの休息時間(フリータイム)は、2024年4月以前は8時間とされていたが、2024年4月以降継続11時間を基本(奨励)として9時間を下限にすることを定めた。

 バス業界にとって特に問題なのは、休息時間については継続11時間を基本(奨励)として、9時間を下限にする基準である。これにより、退勤から次の出勤までの時間が長くなってしまう結果になった。

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