絶望的に少ない大学の「物流専門学部」 日本はグローバル・サプライチェーンの深化に耐えられるのか

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国公私立大学は全国に778校もあるが、物流に特化した学部学科はほんのわずか。今後、この分野における高度人材の育成・確保にはいったい何が必要なのだろうか。

国が動き出した日本

国土交通省の入るビル(画像:(C)Google)。
国土交通省の入るビル(画像:(C)Google)。

 日本はロジスティクス教育で後塵(こうじん)を拝しているが、この時代の流れを静観しているわけではない。

 国土交通省は遅れを取り戻すべく、大学でのロジスティクス教育に注力する動きを見せている。 毎年行われている国土交通政策研究所(東京都千代田区)の研究発表会で、2年にわたりロジスティクス教育や人材育成がテーマとして上がっている。

・令和2年度「物流分野における高度人材の育成・確保に関する調査研究(中間報告)」
・令和3年度「物流分野における高度人材の育成・確保に関する調査研究」

で、外国との相違点や課題点を取り上げている。

 この2年はコロナ禍によりオンライン消費が急増。物流の滞りや人材確保が問題視された。慢性的な人手不足解消だけではなく、感染症対策にもなる人工知能(AI)を駆使した新たな管理システムの構築も待ったなしの状況だ。

 国土交通省の動きは、日本で軽視されてきたロジスティクス教育・人材育成が直近の課題として見えてきた表れといえる。ただし、調査研究には短期間で欧米並みの水準に到達することが極めて難しいことにも触れている。

 しかし、これを日本のロジスティクス教育の黎明期と前向きに捉え、官民を挙げて教育システムの道筋を作ることが急務なのは明らかだ。

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