絶望的に少ない大学の「物流専門学部」 日本はグローバル・サプライチェーンの深化に耐えられるのか

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国公私立大学は全国に778校もあるが、物流に特化した学部学科はほんのわずか。今後、この分野における高度人材の育成・確保にはいったい何が必要なのだろうか。

アメリカの歴史からわかる物流の重要性

マサチューセッツ州にあるマサチューセッツ工科大学(画像:(C)Google)。
マサチューセッツ州にあるマサチューセッツ工科大学(画像:(C)Google)。

 国際ビジネスのリーダーとして君臨するアメリカでは、ハーバード大学やイェール大学といった名門大学にロジスティクスコースが設置されている。

 特にマサチューセッツ工科大学には1973年創立の「Center for Transportation & Logistics(運輸ロジスティクスセンター)」があり、半世紀近くにわたって、サプライチェーンや物流の研究はもちろんのこと、専門家育成を行っている。

 ビジネスには多角的な視点が求められる。その中でもアメリカという広大な国で原材料調達から商品化、そして消費者の手元に届くまでを効率的に考えることはビジネスをする上で死活問題となる。

 さらに原材料と物流の関係性で歴史を振り返ると、資本主義黎明(れいめい)期にロックフェラーが石油を運搬する際、鉄道に頼らずに済む自前のパイプライン構想を練った話はよく知られている。構想は材料運搬の効率化や経費削減を生み出す考えから派生した。

 こうした歴史が、アメリカにおける企業経営に大きな影響を与えたのは大げさな話ではない。そうでなければ、有名大学に物流専門コースが当たり前のように存在するはずもなく、国際競争が激しさを増す産業界からのニーズが非常に高いことを証明している。

 複数の国から原材料を調達し、モノを作るのが当たり前になった今、ロジスティクスの存在感は増すばかりだ。

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