飛行機の「ペット同伴」 SNSでどんなに批判されても、気にせず推進すべき理由
感情論超えた普及要

これまで述べてきたように、ペットツーリズムのニーズが見込まれる以上、今後、国内航空各社がペット同伴の搭乗サービスを導入するのは自然な流れだ。SNS上では、アレルギーやペットの臭いを恐れてペット同伴の搭乗を支持しない人も多い。しかし、スターフライヤーはこれらの問題を克服し、全路線に導入することに成功した。
つまり、SNSで叫ばれている懸念は取り越し苦労にすぎないのだ。他の国内航空会社がスターフライヤーに追随してこのサービスを開始すれば、
「ペットと飛行機に乗るのは当たり前」
という認識が広まるだろう。そのためには、単にペット同伴搭乗サービスを導入するだけでなく、利用客が利用しやすい価格設定を検討する必要がある。
アジア地域では、韓国がペット同伴搭乗サービスを提供する航空会社が最も多い。国内線のサービス料金は2万~3万ウォン(約2200~3300円)と安く設定されている。これは、ペット同伴の搭乗を考えた場合、多くの航空会社が選択肢を提供するという競争原理の結果である。日本でも多くの航空会社がペット同伴搭乗サービスを導入すれば、より安い運賃が実現し、それが当たり前の社会になっていくだろう。
「緊急時にペットが一緒に逃げられない」のは、実はそれほど大きな問題ではない。1月4日付の『中日新聞』電子版は、羽田空港の事故を受け、ペット同伴搭乗を認めている外資系航空会社に緊急脱出時の対応を尋ねたところ、「ケース・バイ・ケースで当時のスタッフ判断による」「羽田空港の事故を受けて、現在担当部署が検討中」と回答した航空会社があったと報じている。
「一緒に脱出できない」というのは単なる規制にすぎない。つまり、連邦航空局(FAA)の「緊急脱出90秒ルール(非常用脱出口の半分以下を使って事故発生から90秒以内に乗員乗客全員を脱出させなければならない基準)」に従い、ペットも含めて脱出できるシステムを作ればいいのである。
そこまでしてペット同伴搭乗を推進する意義は、インバウンド戦略にある。
アジア成長研究所の発行する『東アジアへの視点』34巻1号(2023年)に掲載された、佐賀大学の内山真由美氏・亀山嘉大氏の論文「ペット同伴搭乗サービスの現状と経済価値 -スターフライヤー台湾チャーター便の調査から-」では、国際線へのペット同伴搭乗は、インバウンド需要を喚起する付加価値サービスのひとつとして検討されている。
2023年来、お祭りの観覧席に座席を設けたり、食事を用意したりするなど、品質を重視し、外国人をターゲットにした付加価値サービスが何度か話題になっている。この流れは、訪日外国人の品質重視に呼応する形で発展してきた。
日本では、国内線でもペットと同伴して機内に搭乗でき、一緒に泊まれる宿泊施設などが充実しているという「付加価値」は、新たなニーズを掘り起こすことができるかもしれない(国際線でペットと一緒に入国できることが前提)。
特に、訪日外国人旅行者数でダントツ1位の韓国(2022年は101万2751人)は、ペットに対して非常に寛容な社会であり、有望な顧客として期待できる。ペット同伴搭乗の拡大は、愛犬家・愛猫家にとっての感情論ではない。日本が観光立国として成長するための手段のひとつなのだ。
だからこそ、たとえSNSで炎上しても、むしろそんなものは気にせず、ペット同伴搭乗サービスを進化させるべきなのだ。