台湾の公共交通革命? 1200元でつながる月決め「TPASS」、自動車・バイク依存から脱却できるか
台湾の高密度車両社会に潜む問題

台湾交通部の公共交通統計調査によると、2022年に最も多く利用された交通手段に占める公共交通の割合はわずか
「14.3%」
だった。首都台北の利用率は42.8%と高いが、東京の87%やソウルの69%と比べると低い水準にある。「車やバイクで移動する方が便利」だと考える人が多く、公共交通を利用しない理由の半分近くを占めている。
台湾の車両密度は1平方キロメートル当たり219.6台で、日本の212.6台、韓国の231.1台とほぼ同じである。原付の密度は1平方キロメートル当たり380台に達し、日本の13倍、韓国の17倍である。
限られた国土に高い車両密度は、
・交通効率の低下
・通勤時間の増加
・大気汚染
の原因となっている。
これに対処し、CO2排出量を削減するため、台湾政府はTPASS定期券の導入を決定した。これにより、通勤コストが下がり、公共交通の利用が促進され、自動車やバイクの購入に消極的になる人が減ることが期待されている。
さらに、TPASS定期券は県をまたいだ通勤を考慮し、1枚のチケットで複数の県の公共交通を利用できるようにすることで、人々が居住地を選ぶ際に大都市の近隣県や市を考慮できるようにし、大都市の人口密度が高いという問題を改善し、バランスの取れた都市と農村の発展を促進することを目的としている。
台湾の公共交通の多くは、ひとつの会社によって運営されている。例えば、台湾鉄道(在来線)は台湾鉄道会社によって運営されており、運賃は日本、韓国、シンガポールなど近隣のアジア諸国に比べてかなり安い。
これは、ほとんどの公共交通事業者が半国営企業であり、他路線との価格競争や高収益を追求する必要がないためである。同様に、特定の公共交通の特定期間の通勤用割引運賃のチケット(定期券や回数券など)の緊急性や需要も比較的低い。