機体墜落もくろみ、非番パイロットが「エンジン停止」未遂 アラスカ航空傘下のホライゾン航空、今こそ「航空テロ」の歴史を振り返ろう

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米国ワシントン州エバレット発サンフランシスコ行きの航空機内で、コックピットにいた「非番のパイロット」が飛行中に突然エンジンを止めようとした。航空テロ事件を振り返る。

繰り返される米国への攻撃

グラウンドゼロ(画像:写真AC)
グラウンドゼロ(画像:写真AC)

 2006年8月には、ロンドンヒースロー国際空港から米国やカナダへ向かう複数の便をハイジャックし、爆破させる計画をロンドン警視庁が未然に阻止する事件があった。

 この事件ではアルカイダとの関連が疑われるメンバー20人以上が逮捕され、その大半はイギリス生まれのパキスタン系英国人であった。そして、米軍主導のアフガン戦争が長期化するなかで、パキスタンに潜んでいるアルカイダは多くの幹部を失い組織的に弱体化したが、アルカイダの支部のひとつでイエメンを拠点とするアラビア半島のアルカイダ(AQAP)が、航空機を利用した米国へのテロ攻撃を繰り返し試みるようになった。

 AQAPによるケースとしては、イエメンで訓練を受けたナイジェリア人ウマル・ファルーク・アブドルムタラブによるアムステルダム発デトロイト行きのデルタ機を狙った未遂テロ(2009年12月)、イエメン発米国行きの貨物輸送機に乗せたプリンターのカートリッジに爆薬が隠されていた爆破未遂テロ(2010年10月)などが挙げられる。

 2016年2月には、ソマリアの首都モガデシュの国際空港を離陸したダーロ航空機内で爆発があり、胴体に穴が開いたまま緊急着陸する事件(ひとり死亡、ふたり負傷)が発生した。

 その後、現地治安当局は実行犯に爆弾が仕掛けられていたパソコンを渡した容疑で空港職員ふたりを逮捕したが、事件の背後にソマリアを拠点とするアルカイダ系イスラム過激派組織「アルシャバブ」の犯行声明を出した。

 また、2015年10月、エジプト・シナイ半島のリゾート地シャルムエルシェイクを離陸してサンクトペテルブルグへ向かっていたロシア旅客機の機内に仕掛けられた爆弾に爆発し、乗員乗客全員が死亡する痛ましいテロ事件があった。

 事件後、イスラム国のシナイ州を名乗る武装勢力が犯行声明を出したが、この事件で同武装勢力はロシア機が離陸したシャルムエルシェイク空港の職員を事前に協力者として味方につけ、協力者に機内に爆弾を仕掛けさせたとみられる。

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