バブル期の狂乱? 軽自動車の限界に挑んだ「ミニスポーツ」の圧倒的存在感とは【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(2)

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1990年代は、バブル崩壊後も未来への夢と希望に満ち、国内の自動車産業も活況を呈していた。本連載では、当時のクルマ文化を探るとともに、興奮を読者に甦らせる。

軽自動車性能向上の転機

ビート(画像:本田技研工業)
ビート(画像:本田技研工業)

 軽自動車というカテゴリーは、1950年代後半からの高度経済成長、そしてその後のモータリゼーションを背景とした“日本固有”の自動車文化だった。

 基本的にはローコストでベーシックなことが存在意義だった一方、1960年代の後半からというもの商品価値を高めるために特別なモデルが追加されることが散見されるようになった。それはどういったクルマだったのか。ミニマムサイズのなかに

「限界性能」

を詰め込んだハイパフォーマンスモデルである。

 1960年代当時、軽自動車の最大排気量は360ccだった。ピーク時にはこの小さなエンジンから40馬力を絞り出すモデルも登場し、その高性能さをアピールしていた。

 しかしそうした高性能モデルは、1974(昭和49)年の第1次オイルショックの影響で市場からのフェードアウトを余儀なくされる。その後、軽自動車は1976年に最大排気量が550ccに拡大される。理由は排ガス規制の強化とともに360ccでは性能の維持が難しくなったことである。

 この時代の軽自動車は大きな特徴もこれといった個性もない存在だった。しかし1980年代に入ると、ある技術が軽自動車の性能を大きく向上させることとなる。それは

「ターボ」

である。

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