JRはなぜ「直通列車」を削減するのか? 国鉄分割がなかったら今より多く存続していたかもしれない
首都圏では鉄道会社間の直通運転が盛んなのに、なぜJRは直通列車を減らすばかりなのか。いま一度考える。
直通メリット再考

山之内秀一郎国鉄常務理事(後にJR東日本会長)は国鉄分割民営化前、
「これからの長距離列車は飛行機・高速バスとのきびしい競争にさらされますので、(中略)合意を得ることは困難でないと思います」(『鉄道ジャーナル』No.234、1986年7月号)
と語っていたが、実際には在来線長距離列車の削減は進んだ。
ただし、直通運転が増えると、遅延が広範囲に波及することはデメリットとしてある。それでも、直通運転によるメリットは小さくない。鉄道事業者任せにせず、直通運転の維持や復活に向けて、国や沿線自治体などのステークホルダー(利害関係者)と協働する視点が必要である。
「国民的財産」といえるJRのネットワークの価値を維持するためにも、ステークホルダーがJRや鉄道のあり方により関心を持つことが望まれる。