JRはなぜ「直通列車」を削減するのか? 国鉄分割がなかったら今より多く存続していたかもしれない

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首都圏では鉄道会社間の直通運転が盛んなのに、なぜJRは直通列車を減らすばかりなのか。いま一度考える。

直通メリット再考

金沢駅に並んだ「能登」と「北陸」。2010年1月31日撮影(画像:大塚良治)
金沢駅に並んだ「能登」と「北陸」。2010年1月31日撮影(画像:大塚良治)

 山之内秀一郎国鉄常務理事(後にJR東日本会長)は国鉄分割民営化前、

「これからの長距離列車は飛行機・高速バスとのきびしい競争にさらされますので、(中略)合意を得ることは困難でないと思います」(『鉄道ジャーナル』No.234、1986年7月号)

と語っていたが、実際には在来線長距離列車の削減は進んだ。

 ただし、直通運転が増えると、遅延が広範囲に波及することはデメリットとしてある。それでも、直通運転によるメリットは小さくない。鉄道事業者任せにせず、直通運転の維持や復活に向けて、国や沿線自治体などのステークホルダー(利害関係者)と協働する視点が必要である。

「国民的財産」といえるJRのネットワークの価値を維持するためにも、ステークホルダーがJRや鉄道のあり方により関心を持つことが望まれる。

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