中国BYDの“本質”を理解できるのは「若者」であり、年配者ではない
ゲームが持つ「夢」「未来」

2023年9月に幕張メッセで「東京ゲームショウ2023」が開催された。リアル会場の来場者数は24万3000人で、コロナ禍前年の2019年の26万2000人に迫る勢いだった。筆者はこの2年間、ゲーム業界を支えるPCパーツのPR業務に携わってきたが、イエナカ需要が高まるなかで、ゲーム業界は「量的」だけでなく、明らかに「質的」に伸長した。
単純に自分でゲームを楽しむだけでなく、上級者(プロゲーマー)がプレイしているのを配信で観戦することが、ここ数年で非常に広まってきた。さらに、PCのスペック向上や通信環境の進化により、上級者と一緒にゲームへ参加できるようになった。
また、ゲーム配信者のなかにはメジャーなタレントや有名プロゲーマーもいるため、彼らと一緒にゲームをプレイすることでリアルな交流も生まれる。さらに、特別なコンテンツを用意しなくても、自らが配信者となり、10万人単位のフォロワーを獲得すれば、インフルエンサーと呼ばれることも可能だ。
そして忘れてはならないのが、近年、いくつかのゲームタイトルが「eスポーツ」として国によって戦略的に後押しされていることだ。つまりコロナ禍以降、ゲームには国も認めた
「若者の「夢」と「未来」」
が詰まっているのである。
日本車がゲームと同じように「夢」と「未来」にみちあふれていれば、多くの若者を引きつけ、ときには自走するコンテンツになるかもしれない。
わかりやすい例でいえば、iPhoneには「夢」と「未来」が詰まっている、あるいは詰まっているように演出されている。だからこそ、毎年発表される新型iPhoneはSNS上で自走し、美意識の高い人は老若男女問わず高性能な「Pro」モデルを買うのだ。
自然環境の激変や国家間の戦争など、先行き不透明な時代にあって、「夢」と「未来」は日本のみならず世界中の若者に共通する、重要な視点である。
BYDは最初からこれを念頭に置いているように思える。スマートフォンの受託生産を事業のひとつとしていることも関係しているのかもしれない。
BYDが何の略かご存じだろうか。英語名は「Build Your Dreams(夢を築く)」。世界的に有名な投資家、ウォーレン・バフェット氏がBYDを絶賛した理由のひとつが理解できる。BYDは、もしかしたら若者から火がつくのかもしれない。