新型センチュリーが「SUV化」した根本理由 そもそも収益性は大丈夫なのか?
高級車ビジネスの厳しい収益性

さて、ここからは高級車の販売コンセプトからではなく、ビジネスとしての収益性から高級車の内情を見てみよう。
その華やかさとは裏腹に、高級車、とりわけトップクラスの超高級車を製造・販売するビジネスは、ほとんどの場合、厳しいコスト管理との戦いの連続である。1台数千万円、車種によっては1億円近い価格設定の車種もある世界で、コスト管理が厳しいとは、にわかには信じがたいかもしれない。
しかし、これらのクルマに使われる素材や製造工程には膨大なコストがかかる。多くの工程を一流の職人が手作業で行っているため、人件費もばかにならない。また、こうしたさまざまな課題は、必ずしも販売利益に回収されるとは限らないのも事実だ。
実際、創業以来BMWの傘下に入るまで高級車しか手がけてこなかったロールスロイスは、過去に何度も倒産し、一時は国有化されたこともある。国有化の理由は、国防と密接な関係を持つ航空エンジン部門を持っていたことだった。
一方、ベントレーは現在はフォルクスワーゲンの傘下だが、それ以前はロールスロイスのオーナードライブカー部門だった。経営難に直面したのは、親会社のロールスロイスと一体化していたからだ。そもそも設立当初は独立した自動車メーカーだったベントレーが、1931年にロールスロイスの傘下に入ったのは、最初の倒産が原因だった。
高級車ビジネスが失敗したもうひとつの近年の例は、2002年から2013年までメルセデス・ベンツのフラッグシップブランドだったマイバッハだ。メルセデス・ベンツの優れた技術力に支えられ、マイバッハは2008年頃には、モデルによっては世界で最も高価な市販乗用車とされていた。それでも同社の利益は常に採算ラインぎりぎりといわれていたため、ブランドは廃止された。
現在、マイバッハの名はメルセデス・ベンツのトップモデルであるSクラスの最上級グレードとして使われ続けている。しかし、その内容はすでにかつてのマイバッハとは異なっている。