物流業界“賃上げ”歓迎ムードも 「業務委託」がさらに加速? 働き方の多様化か、それとも労働力の搾取か

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運送会社の値上げは、昨今の燃料価格の上昇や、ドライバーをはじめとした従業員の待遇改善のため不可避の面がある。一方で、送料無料サービスを行っている通販サイトや、物流コスト削減でしのぎを削っている業界は対応を迫られることとなる。

働き方の多様化か、労働力の搾取か

デリバリーバイクのイメージ(画像:写真AC)
デリバリーバイクのイメージ(画像:写真AC)

 業務委託による配送業務募集のうたい文句は、

「自由な働き方」
「新しい働き方」

である。

 確かに、ある程度自分のペースで働けるだろうし、個人事業主であり他のデリバリーサービスや他分野の業務との掛け持ちも自由である。このほか、職場の人間関係や営業を不得手としている人にとっても魅力的な働き方に違いない。一方で、配送業務の業務委託は、

「労働力の搾取」

ともとれる。

 業務委託で「日額1万1000円以上可能」と書いていても、それは企業に雇用されて得られる賃金とは全く異なる。企業サイドの視点で見れば、1万1000円を給料として支払う場合、給料以外に

・健康保険
・年金
・雇用保険の折半分
・退職金積立金
・被服費
・福利厚生費
・教育/研修費用

のほか、

・ガソリン代
・メンテナンス費用
・保険

といった自動車に関わる費用を支出しているのだ。

 業務委託に切り替えることで、企業はこれらの負担から解放される。一方で、個人事業主は同じ額面を受け取っても、そこから経費を差し引く(今後は消費税も納める)ため自然と手取りは目減りする。

 さらにいうと、現状を見る限り、本来あるべき請負価格を交渉する余地はほとんどなく、

「いいなり」

といってもよいだろう。大手デリバリーサービスの一方的な報酬削減がいい例だ。

 最近、「最低賃金の全国平均時給を30年代半ばまでに1500円とする」という目標が報道されたが、今のままではコスト削減の手段として、業務委託が配送業務だけでなく

「さまざまな業種に拡大する」

だけではないだろうか。時給の引き上げで日本が豊かになるのではなく、ますます貧乏になるのは、筆者の杞憂(きゆう)であってほしいと願うばかりである。

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