東京都交通局が「偽装請負」疑い “公営”交通が、非正規労働者を最低賃金ギリギリで酷使、毎年10%以上離職の現実とは
3月、東京都営交通協力会が東京都労働局などから是正勧告を受けていたことが、一部メディアによって報じられた。“公営”交通が非正規労働者を劣悪な待遇で酷使していたのだ。
「東京都営交通協力会」とは何か
3月、東京都営交通協力会(東京都江東区。以下、協力会)が東京都労働局などから是正勧告を受けていたことが、一部メディアによって報じられた。“公営”交通が非正規労働者を劣悪な待遇で酷使し、事業を運営していたことが明らかになったのだ。
協力会は1943(昭和18)年、東京市電気局(東京都交通局の前身)が本来の業務に専念できるよう、付帯的な業務を請け負うことを目的として設立された財団法人である。
設立にあたっては、電気局長だった安井誠一郎(東京都長官を経て初代東京都知事)が私財2万円を拠出したことが美談として語られている。しかし、のちの安井都政は
「安井都政の七不思議」
とやゆされるほど多数の汚職と疑獄に満ちたもので、単なる美談として語るわけにはいかない。なお、没後に「安井誠一郎氏記念像建設委員会」名義で出版された『安井誠一郎伝』に、協力会のことは一切記載されていない。
協力会の業務は当初、乗車券の販売が主だったが、駅舎の清掃や駅構内の店舗の運営など徐々に拡大し、現在は車両清掃や地下鉄駅の駅業務も受託している。
駅業務の内容は多岐にわたる。後述する都議会の答弁によると、委託内容は
・(59駅の)窓口案内業務
・駅務機器取扱業務
・ホーム監視業務
など、駅係員の業務全般とされている。わかりやすくいえば、都交通局専門の
「下請け法人」
なのだ。