物流業界“賃上げ”歓迎ムードも 「業務委託」がさらに加速? 働き方の多様化か、それとも労働力の搾取か

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運送会社の値上げは、昨今の燃料価格の上昇や、ドライバーをはじめとした従業員の待遇改善のため不可避の面がある。一方で、送料無料サービスを行っている通販サイトや、物流コスト削減でしのぎを削っている業界は対応を迫られることとなる。

業務委託という「魔法の言葉」

ガソリン価格高騰のイメージ(画像:写真AC)
ガソリン価格高騰のイメージ(画像:写真AC)

 運送会社の値上げは、昨今の燃料価格の上昇や、ドライバーをはじめとした従業員の待遇改善のため不可避の面がある。一方で、送料無料サービスを行っている通販サイトや、物流コスト削減でしのぎを削っている業界は対応を迫られることとなる。

 過去に、大手の運送会社が、ドライバーの待遇改善のため配送料を値上げした際、アマゾンとの関係がギクシャクしたことは記憶に新しい。運賃が上がり続けるならば、送料無料をサービスの柱とするのが難しくなる。ではどうするのか。その答えが、

「業務委託」

による配送の拡大だった。

 以前、建設業や警備業など運送業とは縁もゆかりもない会社が、業務委託の配送ドライバーを募集する広告を見かけたとき、筆者(本條光、物流ライター)は「法的に問題ないのか」という疑問が湧くととともに、

「とうとうここまできたか」

と感じた。

 アマゾンを例にとると、

・末端を個人事業主とした多重請負構造による配送
・アマゾンが直接個人事業主と請負契約するアマゾンフレックスによる配送

がある。アマゾンフレックスは、一連の業務がスマートフォンで完結する、アマゾンの荷物に特化した業務委託によるデリバリーサービスだ。

 ただ、業務委託で構成した配送システムの拡大により物流コストの削減に成功し、送料無料サービスを維持し続けているのはいうまでもない。

「個人事業主」「業務委託」というワードは、企業にとってコスト削減の“魔法の言葉”なのである。

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