「パイロット不足」がこれだけ叫ばれているのに、簡単に増やせない根本理由
パイロット不足は日本だけではなく、米国では欠航を余儀なくされたケースもある。不足しているなら募集すればよいと考える人は多いだろう。しかし、現状はそんなにうまくはいかないのだ。
試験基準の緩和はほぼ不可能

パイロットになれる人が少ない背景には、自分の努力だけではなれないなどの理由がある。政府は新たな免許制度の整備やパイロットの訓練時間の短縮などで問題解決に乗り出しているが、人の命に関わる仕事である以上、試験の基準を緩和することはほぼ不可能だ。
日本人パイロットが不足するなか、外国人を採用する手段もあるが、世界的にパイロットが不足している状況で、他国からパイロットを呼び込むには給与の引き上げや待遇の改善が必要だ。しかし、コロナ禍の影響で航空業界全体の業績が芳しくなく、円安が続いていることから、当面の給与アップは難しい。
業界が「2030年問題」に直面すれば、米国のように地方便の運休で対応するしかないかもしれない。多くの地方路線は不採算ではあるが、日常生活に欠かせない公共交通機関としての役割も担っており、航空会社は今後難しい決断を迫られることになるだろう。