「パイロット不足」がこれだけ叫ばれているのに、簡単に増やせない根本理由

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パイロット不足は日本だけではなく、米国では欠航を余儀なくされたケースもある。不足しているなら募集すればよいと考える人は多いだろう。しかし、現状はそんなにうまくはいかないのだ。

課題解消への手段

旅客機(画像:写真AC)
旅客機(画像:写真AC)

 航空身体検査の厳しさについて、いくつかの制限が緩和された。以前は裸眼視力がよくないとパイロットになれなかったが、近年は視力に関して矯正視力(メガネやコンタクトレンズの使用)が認められている。

 免許制度が見直され、「准定期運送用操縦士」免許が新設され、一部の分野で訓練を軽減できるようになった。この免許は、航空機の運航にふたりのパイロットを必要とする航空会社向けのものである。

 これまでは、ひとりで航空機を安全に操縦できることを証明する必要があった。一方、この免許は、ふたりで分担して航空機を操縦する航空会社向けに設計されているため、ひとりのパイロットの訓練プロセスの一部を省略することができ、訓練時間を短縮することができる。

 訓練時間の短縮は、航空会社が自社パイロットを訓練する際のコスト削減につながる。訓練が短縮されたからといって、試験に合格のハードルに変わりはないが、ひとりあたり1000万円を超える訓練費用を削減できる免許が誕生し、パイロット不足の解消につながるだろう。

 コミュニケーションスキルを向上させるため、航空会社は定期的にパイロット向けの研修を行っている。適切な権威勾配の重要性を教えるほか、困難な状況のシミュレーションやグループワークでのコミュニケーションの取り方なども学ぶ。

 近年はパイロット不足が深刻化し、外国人パイロットも増えているため、言葉の壁を越えた円滑なコミュニケーションが求められている。

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