MRJの失敗は必然だった? 元航空機エンジニアの私が感じた「うぬぼれ技術者」発言への違和感、部下への責任転嫁に民間産業の未来なし
三菱航空機の社長として一時期のMSJ開発を率いた川井昭陽(てるあき)氏が、テレビ愛知のインタビューに対し、日本人技術者の「うぬぼれ」が失敗の理由だと発言し、一部のひんしゅくを買っている。いったいなぜか。
必然だったMSJの失敗

繰り返しになるが、航空機の型式証明は
「設計国が世界に対し第一義的な責任を有する」
ものである。日本で設計される航空機の安全性を、日本の政府当局であるJCABが保証し、それを世界に認めさせることができなければ、国産機など製造できない。
JCAB審査センターの清水所長は、インタビューに対して強度試験の例を挙げ、
「最大値の1.5倍の荷重に3秒以上耐えられることを証明しなければならないという基準はあるが、証明の方法は示されていない」
と語っている。しかし、方法が適切かどうかを判断するのがJCABの仕事だ。その責任を負う立場にある者が
「証明の方法は示されていない」
と語ること自体、まったく論外というしかない。
川井元社長も清水所長も、無理な仕事を押し付けられた立場だったといえるし、そのことには多少の同情も感じる。しかしJCABが自らの責任を放棄し、元社長が
「部下に責任を転嫁する」
ようでは、日本の民間航空機産業に未来などあるわけがない。
MSJプロジェクトを事業化した経済産業省は、開発の失敗を検証する有識者会議を開催しているが、やはりここでも
「検討安全認証プロセスの理解・経験が不足していた」
と、最初から指摘されていたことを、ひとごとのように繰り返しているだけだ。しかも、計画の立ち上げに関わった張本人である御用学者や役人たちが、やはり自分たちの責任を丸投げし、今も涼しい顔で会議を主導している。
このような無責任国家にとってMSJの失敗は必然だったのであり、その無責任が今後も繰り返されようとしているのだ。