緊張続く台湾情勢 企業の駐在員退避の議論が広がる ポイントとなるのは“民間機の運航停止”だ
緊張が続く台湾情勢。退避対策を真剣に検討する企業は全体の数として多いとはいえないが、「関連企業が始めたから次はわが社も」とその動きが広がっているのは間違いない。
状況次第で「平時避難」も

こういった近年の動向を考慮すれば、おそらく2022年8月のように、今後中国軍が台湾を包囲するような大規模軍事演習を行えば、アシアナ航空や大韓航空だけでなく、日本と台湾を結びJALやANA、台湾のエバー航空などのフライトも一時停止する可能性がある。
こういった際の運航停止は1日か2日など一時的なもので、すぐにフライトが再開することになる。
しかし、ウクライナのように本当に有事が発生すれば、民間航空機の運航は無期限で停止となる。そして、繰り返しになるが、民間航空機の運航が停止しても、ウクライナでは避難する代替手段があった一方、台湾ではすぐに篭城の身となる。
要は、台湾に進出する企業は民間航空機の運航がどうなっているかを、ウクライナのとき以上に真剣に注視する必要があり、状況次第では
「平時のうちから避難する」
ことが求められる。
実際、筆者が接している企業人たちは、駐在員が篭城の身になるリスクを低減させるため、今のうちから駐在員の数を必要最低限にし、事業のスマート化を図っている企業もある。また、日本に退避したが「結局何も起こらなかったでもOKだ」という意見も増えている。
避難を行動に移す際のトリガーを見つけることは、答えがないので簡単ではない。しかし、前述の過去のケースから、例えば2022年8月のような事態が生じた際は、一歩早い危機管理として駐在員を日本へ避難させることも有効な対策といえるだろう。