インターチェンジの「名称変更」は意外に少ない? でも、自治体予算を使ってまで行われるのはなぜか

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IC名の変更は自治体が要望した場合、名称変更に必要な経費は市が負担する。負担金はかなり高額だが、市側はなぜ名称変更を行ったのだろうか。

名称変更による経済効果

長野自動車道「安曇野IC」付近(画像:写真AC)
長野自動車道「安曇野IC」付近(画像:写真AC)

 豊科ICから安曇野ICへと名称変更を行った長野県安曇野市は2005年、5町村が合併して誕生した。2011(平成23)年には、同市を舞台としたNHK連続ドラマ『おひさま』が放映され、安曇野の名が全国的に知られるようになった。これを機に、安曇野市は

・高速道路利用者の利便性の向上
・市民の一体感の醸成
・経済効果約10億4000万円

を期待し、名称変更を行うことを決めたのだ。

 2012年3月の安曇野市の公式ウェブサイト「広報あづみの」には、

「市の名前と同じIC名にすることで、高速道路を利用する皆さんがわかりやすくなるだけでなく、産業・観光振興などさまざまな効果が期待できます」

と記されている。

 また市民や観光客などに向けて行ったアンケートの結果では、名称変更に「賛成」が全体の5割以上を占め、「どちらかというと賛成」と合わせると、賛成意見は7割以上となった。

 ウェブサイトには、安曇野ICへ名称変更を行うにあたって必要となる経費が記載されている。案内標識や交通管理システム等の変更費用、利用者への広告費などとして約2億800万円だ。

 では、実際に安曇野市がどのように財源を使用したのか。それは、

・合併特例債を利用して積み立てた地域振興基金:1億5150万円
・国土交通省の社会資本整備総合交付金:5500万円
・一般財源持ち出し:150万円

といった具合だ。

 約2億800万円を市側で負担した場合、どれだけの経済効果が見込まれるのだろうか。民間調査会社に依頼して産業関連分析の推計を行った結果、観光消費や各産業へ波及する経済効果等は

「10億4000万円」

と推計された。

 これだけの経済効果が見込まれるため、安曇野市は市の財源を利用してまでIC名の変更をしたのだった。

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