三菱の欧州「新型コルト」9年ぶり復活も 外見がまんま“ルノー・クリオ”なワケ
ヨーロッパ市場の位置付け

ヨーロッパにおいて、三菱自動車が緩やかに撤退していると思われていたのは、同社のヨーロッパ市場の位置付けによるところが多い。ここで、中期経営計画をひもといてみよう。
・ニューステージ2016:2014~2016年度
・Drive for Growth:FY2017~FY2019
・Small but Beautiful:2020~2022年度
・Challenge 2025:2023~2025年度
ニューステージ2016におけるヨーロッパ戦略では、生産拠点譲渡により固定費を削減するも、新型モデルの投入により販売は増加するとしていた。しかし、Drive for Growthでは、戦略地域はアセアン・オセアニア・米国・中国・日本であり、ヨーロッパはその他市場とひとくくりにされて、特に触れられていない。さらにSmall but Beautifulになると、ヨーロッパ市場の戦略に触れられていたものの、新規商品凍結というものだった。
この一連の流れでは、緩やかに撤退していると思われるのも仕方がない。
しかし、ここにきてChallenge 2025では、ヨーロッパ市場を先進技術推進地域と位置付け、
「アライアンス・協業パートナーを活用し先進技術化を推進する」
としている。
以前よりもヨーロッパ市場に対する考え方がわずかではあるが変化したといえる。そして、2023年3月にASX(ルノーによるOEM)を投入し、つづいて新型コルトと、中期経営計画を実行に移したのである。
今回の新型コルトの投入が、好意を持って受け止められている背景には、決してパイが大きいわけではないものの、三菱自動車がヨーロッパ市場において
「信頼性で一定の評価を得ている」
こともある。
中古車市場においても、2012年のコルトが高値では6830ユーロ(約105万円)、2012年のパジェロは2万6900ユーロ(約415万円)の値段が付いており、一定の需要はあるのだ。