機体が重すぎて「離陸できない」 英国LCCで起きたビックリ珍事、いったい何がどうしてどうなった?
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スペインから英国へ向かう旅客機が、そのままでは重すぎて離陸できないため、機長の呼びかけに応じた19人の乗客が、約7万8000円の協力金と引き換えに機体を降りた――というニュースがあった。
余裕の少ないLCCの運航計画

航空会社としては、乗客の支払う運賃で利益を得ている以上、できるだけ多くの乗客を乗せて飛びたいのは当然だ。
乗客の需要があれば、できるだけ大きな飛行機に多くの客を乗せて飛ぶことで増収を見込めるため、イージージェットはランサローテ空港の運用上限に近い運航を行っていたのだろう。その結果、不利な気象条件に見舞われたEZY3364便は、報償金を払って乗客に降りてもらうという対応を強いられた。
近年需要が伸びているイージージェットのようなLCCでは、従来の大手航空会社よりも余裕の少ない運航でコストを削減し、格安料金を実現している。
到着から出発までの時間を切り詰めて飛行頻度を増やすのがセオリーだが、今回のEZY3364便のように、空港の能力を最大に使った運航もちゅうちょしない。離陸重量を抑えるために、乗客の機内手荷物に重量制限を設け、預け入れ荷物は有料としているのが普通である。
LCCといえども、安全性を犠牲にすることは許されないから、あまりむちゃな運航は当局の承認も得られないが、気象条件や機材不調など不測の事態への対処は難しくなる。予定時刻の遅延は日常茶飯事だし、機材繰りができないための欠航も多い。今回の重量超過騒動も、そうしたLCCならではの出来事であろう。
しかし、今やLCCはすっかり社会に定着しているし、地球温暖化に伴う異常気象も珍しいことではなくなった。コロナ禍で世界の航空需要が激しく変動するなかで、LCCを使った旅行需要が回復していくと、今回のような事例は増えてくるかもしれない。