中国「一帯一路」を歓迎する日本企業 カンボジアの高速道路から恩恵を受ける巨大スーパーとは【連載】方法としてのアジアンモビリティ(2)
- キーワード :
- 道路, カンボジア, 方法としてのアジアンモビリティ
カンボジアで進む高速道路建設
カンボジアで6月7日、首都プノンペンからベトナム国境近くの都市バベットを結ぶ高速道路の建設が開始された。現在プノンペンからバベットまでは通常4時間以上かかるが、高速道路が完成すれば約1時間半に短縮される。2027年の開業を目指している。
建設するのは、中国の交通インフラ大手・中国路橋工程(CRBC)。総工費13億7600万ドル(約1900億円)を負担し、完成後は50年間の運営権を取得する。
「建設・運営・譲渡(BOT)方式」
と呼ばれる仕組みだ。
カンボジアでは、2022年にこれと同じ方式で、プノンペン~シアヌークビル間の高速道路が完成した。同国初の高速道路だ。約20億ドル(約2700億円)を投じ、この建設工事を担当したのもCRBCだ。中国交通建設集団傘下のCRBCは、道路や鉄道、橋梁建設を中心に成長しており、約60か国・地域に支社や事務所を持っている。
カンボジアは、中国が推進する一帯一路(中国主導で進められているアジア、ヨーロッパ、アフリカ大陸にまたがる経済圏構想)の重要国に位置づけられており、中国の同国への投資は5年間で1兆円を超えている。中国の支援によってインフラ建設が急ピッチで進められているのだ。
これに対して、米国は一帯一路を批判し、カンボジアの中国傾斜に警戒感を強めているが、一帯一路が
「カンボジア経済を強く後押ししている」
ことは、紛れもない事実だ。しかも、中国主導のインフラ建設によって、日本企業は大きな恩恵を受けている。
特に、プノンペンと南部の港湾都市シアヌークビルを結ぶ高速道路の開通によって、一般道による所要時間(5~6時間)が、約2時間に短縮され、大きな経済的インパクトを与えつつある。
また、高速道路には中央分離帯も設置され、安全性も高まった。カンボジア総合研究所の鈴木博最高経営責任者(CEO)は
「高速道路の開業と港湾整備は外資が新たに進出する動機になる」
と指摘している。