中国「一帯一路」を歓迎する日本企業 カンボジアの高速道路から恩恵を受ける巨大スーパーとは【連載】方法としてのアジアンモビリティ(2)

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急速に変化・成長する経済圏として、世界的に注目されているアジア。この地域発のモビリティ・アプローチが、今後の経済において重要な役割を果たすことはいうまでもない。本連載では、アジアにおけるモビリティに焦点を当て、その隆盛に迫る。

シアヌークビルが注目される理由

シアヌークビル港(画像:経済産業省)
シアヌークビル港(画像:経済産業省)

 1960年代にジャングルを切り開いて建設されたシアヌークビルは、やがて欧米観光客が立ち寄る場所となり、2010年代半ば以降、カジノ、ホテル、高級分譲集合住宅などを営業する中国系資本が次々と進出した。いまや

「リトルマカオ」
「第2のマカオ」

と呼ばれるようになっている。

 シアヌークビルが注目されるもうひとつの理由は、カンボジアで唯一の深水港(主に大型船舶が利用できる深い水深を持つ港)を擁していることだ。シアヌークビル港は、カンボジアのコンテナ貨物の約6割を取り扱っている。

 シアヌークビルでは、中国江蘇省の企業が出資するシアヌークビル経済特区に中国企業が集中している。総面積は1100haで、300社が入居可能という。

 これに対して、2012年には日本の円借款(日本国政府が外国政府や国際機関に対して、経済援助や開発支援の形で提供する貸付)によって、シハヌークビル港湾公社(PAS)が運営するシハヌークビル港経済特区が建設されている。

 2022年8月には林芳正外相がプノンペンを訪問し、最大413億円の円借款を供与し、シアヌークビル港のコンテナターミナル拡張を支援する方針を打ち出した。完工すれば大型コンテナ船の寄港も可能になる。

 一方、シハヌークビル港から東へ約90kmの地点に,中国民間資本が主体となってカンポット港・SEZの開発が進められている。カンポット港もまた、大型コンテナ船が入港できるヤードを建設する計画だ。この工事を担当するのもCBRCだ。日中の競合にも見えるが、カンボジア政府は、両港が相互補完的に機能することを期待している。

 CBRCが建設したプノンペン~シアヌークビル間の高速道路によって、日本企業は大きな恩恵を受けつつある。

 特に注目すべきは、カンボジアでの事業を急速に拡大しているイオンモールの動きだ。4月7日には、イオンモールのカンボジア3号店となる「イオンモール・ミエンチェイ」がプノンペン南部に正式オープンした。

 敷地面積は17万4000平方メートルで、東南アジア諸国連合(ASEAN)にあるイオンモールの中でも、最大規模となる。すでに同社は、2014年にカンボジア1号店として「イオンモール プノンペン」を、2018年に2号店として「イオンモール セン ソック シティ」を開業した。

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